第22話

 月島は木戸を追いかけた。

 途中、人や車に道を阻まれ、木戸との距離は遠のいてしまった。月島がふと顔を上げると小さな女の子が

「頑張れー」

 と力一杯叫んでいた。

 それから月島の後を追いかけた赤星が到着すると周りにいる野次馬達が大声で

「頑張れー!負けるなー!」

 そうエールを送っていた。

 赤星は月島を見て

「坂本…。早く行こう!」

 そう言って月島の腕を自分の肩に置き走り始めた。それ以外のメンバーも2人の後に続いた。









 その頃、桜田はオーロラビジョンを見てはっとした。画面には8人のスターが木戸を追って走っている姿が映っていた。画面には、『8人vs1人の鬼ごっこ 勝つのはどっちだ⁉︎』というテロップが流れていた。





 桜田がオーロラビジョンに注目してから20分後、8人のスターは木戸に追いついた。それと同時に数名の警官が来て木戸に手錠をかけた。

「月島…」

「木戸さん、僕だって悪かったところはあります。ですが、何故こんな事をしたんですか?」

「監督辞めてから地獄の日々を送っていたんだよ。そんな時甲斐憲司様が現れて一緒に月島みたいな輩をお仕置きしないかって誘われたんだよ」

「アンタ…あの男は何をしようとしてんだ」

 赤星が割って入ってくると

「石原裕次郎…。それは世の中にいるダメな人間特に8人のスターのような奴らを殺す事だ」

「忠告しようか。俺達8人のスターはダメな奴らじゃないぞ」

 赤星の一言を聞くと木戸はほくそ笑んだ。








 ハチ公広場に戻った8人のスターは桜田に甲斐憲司の目的について話した。

「ダメな人間を殺す…。惨い事だ。今までアクロポリスと関係のあった事件と今回の件も含めて調査するよ」

 桜田は去ろうとしたが、

「桜田さん!」

 赤星が呼ぶと

「桜田さん、前から気になりましたが、一体何者なんですか?」

 1人の警官が赤星の前に立ち

「君失礼だぞ!この方は、元警視総監だぞ!」

 それを聞いて一同は驚いた。

「元警視総監⁉︎」

 紅は叫んだ。

「トップだったんじゃないですか」

 長曾我部が腰を抜かした。

「ごめんね。もっと早く言えばよかったね」

「本当ですよ!」

 赤星はそう言った。











この事件がきっかけで1ヶ月後、8人のスターはバラエティーに引っ張りだこになるぐらいの人気者になり、8人のスターを主人公にしたアニメやドラマが放送され、幅広い世代が知る有名人となった。また、子供達の間では、8人のスターごっこがブームとなった。






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