第14話

 小夜は信じられなかった。

 アクロポリスの幹部の女の顔が、元恋人・川崎冬樹の浮気相手に似ていたからだ。


「あ、あなたは…」

 小夜は口をパクパクさせた。

「美空、知り合いか?」

 島が聞くと

「忘れはしない…。冬樹の浮気相手…」

「浮気相手⁉︎」

 薬師丸は素っ頓狂な声を出した。

「ふざけないで!姉はアンタが殺したんでしょ?」

 女は目を真っ赤にした。

「詳しくはわからないが、君は美空さんの事知ってるんだね?」

 長曾我部は冷静に尋ねた。

「は?その美空ひばりいや花見小夜は私の姉を殺したんだよ!」

 女はヒステリックになって叫んだ。

「花見小夜、私は覚えてるよ…。アンタが裁判で有罪判決を受けてた姿を!私の姉、重政鈴子はどんな思いを死んだんだか…」

「殺した事は謝る!お姉さんのこと許せなかったの!だから…」

「ふざけないで!お姉ちゃん、麻里子はお姉ちゃんの仇が取れるわ!」

 そう言って重政麻里子は持って拳銃を撃った。

 弾は、素早く小夜に当たりそうになるが、間一髪で小夜を庇って赤星の胸近くに当たり、赤星は倒れた。

 その場にいたメンバーは悲鳴を上げた。

「石原さん!」

 小夜は泣きながら赤星に駆け寄った。

 赤星は胸を押さえた。

「石原くん!」

 桜田は持っていたハンカチで赤星の怪我を止血しながら

「三船君!救急車を呼んで!」

「はい!」

 島はスマホで救急車を呼ぶよう電話をした。

「勝君、外の警官に連絡を!」

「はい!」

 蟹川はそう言ってインカムに向けて出動を要請した。


「石原さん…」

「大丈夫!美空さん!」

 桜田は小夜を安心させようとした。

 その様子を見た重政麻里子は

「可哀想!石原裕次郎、死んじゃったね!」

「てめぇ!」

 薬師丸は拳銃を出し、銃口を重政麻里子に向けた。

「止めな!」

 長曾我部は止めた。

 突然、重政麻里子は高笑いしたかと思えば、

「8人のスターってバカだね〜。あと、1人1人の事、わかってんだよ!誰が誰だか」

 そう言って重政麻里子は1人1人を指を差しながら

「死んじゃった石原裕次郎…私の姉を殺した美空ひばり…女子に人気ありそうな三船敏郎…癇癪起こす三波伸介…アホな勝新太郎…地味な坂本九…イケメンな林家三平…小さい子みたいに泣き虫な夏目雅子…」

「かなり失礼な人だな…」

 長曾我部は呆れた。

「お黙り!花見小夜もとい美空ひばりを殺させてさもないと毒薬撒くわ!」

 重政麻里子は左手に持っている瓶を差した。

「させるか!」

 島は言うと

「当たり前です!ひばりさんは私達の仲間です!」

 紅が続けた。

 重政麻里子は舌打ちをして

「だったら撒いてやる!」

 重政麻里子は拳銃を瓶に突きつけた。


「殺してみな!」

 小夜は立ち上がった。

「美空!」

「美空さん!」

 他のメンバーは叫んだ。

「重政さん、毒薬もだけど私もターゲットでしょ?殺してみてよ!」

 重政麻里子は何も言えなくなった。

「どうしたの?さっきの勢いは」

 小夜は悪魔みたいな笑みで脅した。

 

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