第12話
小夜の事が心配になった赤星は、ベランダへ行った。
ベランダでは、小夜がぼんやり夜空の星を眺めていた。
「赤星さん…」
小夜が赤星に気づいた。
「花見、大丈夫か?顔色悪かったぞ」
「ごめんなさい…。ちょっと冬樹の事、思い出しちゃって…」
「冬樹?」
「冬樹は元彼で…。私が殺したんです」
「殺した…」
「発端は、彼が浮気していたからです。浮気が発覚する前は私が悪い事をしたのではないかとずっと考えていたんです。ある日、彼の部屋を訪ねたら知らない女の子と浮気していてその女の子が可愛くてなんだか悔しくて彼とその浮気相手の女の子を殺してしまいました…」
「その元彼酷いな。浮気してたなんて」
「赤星さん、彼より私のほうが悪いです!私は結局彼を殺したんだから」
小夜は涙目になって訴えるように話すが、赤星が小夜の肩に手を置き、
「そんな事言ったら俺だって人殺しだ。俺は児童相談所で働いてた時に訪ねた家の親を殺した。虐待されている子供を守ろうという気持ちが強くなったあまり…」
「赤星さん…。でも、私は赤星さんみたいに正当防衛でやったわけじゃないですよ!」
「結局はその親は亡くなったんだ。俺は殺したんだよ。人を」
「赤星さん…」
「一言言っていいか?」
「え?」
「俺は花見の事可愛いと思ってるからな」
赤星はそう言うと静かに去った。
小夜は夢から覚めた後みたいにぼんやりすると
「私…可愛いって言われた…。赤星さんに…」
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