第11話

 1年前、花見小夜は付き合っていた彼氏の川崎冬樹を殺した。


 発端は川崎の浮気だった。


「冬樹、今度鎌倉行こう!」

 小夜は誘うが、当の本人は素気なく

「あぁ」

 この一言だけだった。

「冷たいよ〜。他に何か言う事あるんじゃないの?」

「別に」

 こんな日が毎日続いた。

 不審に思った小夜は、川崎のアパートを訪ねた。インターフォンを鳴らすと川崎の声と同時に女性の声が聞こえた。小夜は、返事をせずにそのまま部屋に入ると川崎は怒鳴るように

「何だよ」

「冬樹、これどういう事?」

 小夜はそう聞くと川崎に抱きついていた女性は

「冬くんは、アンタがつまんないから別れたいから私と付き合ってんの」

「そういう事だ。小夜。もう別れよう」

 川崎と女性の言葉を聞いた小夜は

「あんまりだよ…。こんなのあんまりだよ…」

 大粒の涙を流していた。

「残念でした〜」

 女性は子供のように舌を出した。

 小夜は怒りが爆発し、近くにあったコンセントで女性の首を絞め、その後、力一杯殴った。5分後、小夜の拳は血で濡れていた。それを見て激怒した川崎は腕を掴むが小夜は噛みつき、川崎が痛がっているその隙にアパートのドアを開け逃げたが川崎がすぐ追いかけ、近くの階段で立ち止まると川崎を強く押した。川崎は転がり頭を強く打ち、死亡した。

 怖くなった小夜は逃げようとしたが、川崎の隣りに住んでいた高齢男性に一部始終を見られ、すぐ警察に逮捕された。

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