第9話

「原宿駅近くのコンビニに強盗が入った!直ちに向かおう!」

 桜田にそう指示が出て赤星ら8人のスターは、原宿駅近くへ向かった。


 原宿駅の近くに着くと20代ぐらいの大学生ぐらいの男がナイフを突きつけ店員を脅していた。

 脅されている店長らしき50代の男は恐怖のあまり震える手で犯人の男にお金を渡そうとしていた。

 その時、

「そこまでだ!」

 赤星が叫ぶと犯人の男は振り向き

「誰だ!」

「俺達は8人のスターだ!お前を強盗罪で逮捕する!」

「何言ってるんだ!殺すぞ!」

 犯人の男は赤星にナイフを突きつけようとしたが、赤星はそれを避けた。

「石原!そいつアクロポリスの1人かもしれない!気をつけろ!」

 島が叫ぶと

「そうだ…そいつの言う通りだ!俺はアクロポリスの1人だ!」

 犯人の男は高笑いすると

「お前、まだ学生だな?」

 蟹川が静かに聞くと

「は?関係ないだろ」

「関係ない?俺はかつてお前のような事をしていたんだ…」

 蟹川が犯人の男に向かって歩いて行った。

「勝さん!」

 島が叫んで走ろうとするが、赤星がそれを止めた。

「石原!なぜ止める?」

「勝さんに何か考えがあるんだ…見守ろう」

 赤星にそう言われ、島は黙り込んだ。

「あんた、何言ってんだよ?俺と同じ?」

「そう…俺はお前と同じだった。ニートでやる気なしの俺は数年前、お前みたいにコンビニ強盗して捕まったよ…。そんな俺だけど、人生をやり直せた。そう8人のスターの1人として!俺は、お前に言いたい!人生やり直せる!だからもう馬鹿な事は止めろ。俺は散々親を泣かせた。お前の親もきっと泣いてるだろう。もう一度言う。人生やり直せるから。学生だしまだ若いからやり直しできるぞ!」

「は?お前、偉そうに」

「偉そうかもしれない。けど、俺お前みたいなやつほっとけないから」

 すると犯人の男は泣き崩れた。すぐに周りにいた警官によって取り押さえられ、店長の男は8人のスターや警官にお礼を言って頭を下げた。


 数日後、コンビニ強盗をした犯人の男が人が変わったように刑務所での生活を送っている事を蟹川は知り、安堵した。

 そして、この件で蟹川はだらしなさがなくなり、また他のメンバーから以前より厳しく注意される事がなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る