第八話 ミラルフ国の守護者
ひび割れた壁や天井から月光が差し込み王宮内は薄暗く、隙間風が背筋を撫でる。
今にも亡霊が出来てもおかしくないそんな雰囲気のある王宮。
埃の被った赤黒いカーペットの上を進み、入口正面にある階段を上って行く。
叫び声の聞こえてきた部屋の入口前に立ち。
「ほ、本当に入るの?」
「まだビビってんのかよ」
「しょうがないじゃない、怖いんだから」
「臆病になるのは悪い事ではないであるぞ!」
「早く行くぞ! 叫び声の正体をこの目で確かめてやる」
「まるで子供だな、カインは」
カインは勢いよく扉を開くとそこは王室の間だった。
かつてそこにこの国の王が座っていたのであろう、赤く金色で縁どられた豪勢な椅子。
その前で膝を付く漆黒色をした、獅子の頭の様な形をした西洋甲冑を着た何者かがそこに。
そいつは振り返ると。
「──人間、マタシテモコノ地ニ。許サン! 許サンゾ、人間!! 今度コソハコノ私ガ『ミラルフ国』ヲ」
立ち上がると身の丈よりも長い刀身、大剣と言うには分厚く不格好にして無骨。
剣と言うよりも鉄塊という方が合いそうな大剣を背から抜き、斬り掛かる。
部下を守る様にして咄嗟に飛び出したスキンは初太刀を『
凄まじい剣圧でロスト、アミ、カイン、オルロ、スランマが後方に吹き飛ぶ。
「なんなのよ、あいつ……」
相手の情報を得る為にアミは下級魔術である『
「あいつは亡霊系統の
「なんと! どうおりで強い訳だ。濃密な魔力で皮膚の上を纏った吾輩の強力な『
「それだけじゃないわ! ネーム持ちでもあるの。『ジェネラル』っていう」
──名前を呼ばれる声に。
「私ヲソノ名デ呼ブナッ!!!」
と、憤怒するジェネラル。
「(何よあいつ、規格外すぎるわ。ネーム、二つ名だけじゃなくて、人間の言葉まで理解して発するなんて)」
ジェネラルか……。
人間の言葉を発し、理解する魔物なんてそうはいない。
魔術を扱える魔物よりもレア中のレア!
俺の仲間にしてぇ!!
そうすれば俺の研究も捗るかもしれない。
戦力としても申し分ないしな。
「──ロスト。その目、あいつを『
「うるせぇ。 そんなこたぁ分かってる。それでも俺はやるぜ、目的の為なら自分の命だってはってやるよ!」
スキンとジェネラルの激闘で元々限界に達していた王宮は崩れだし、二人の剣圧と拳圧で伏せている事しか出来ず。
身動きがとれなくなっていた三人と二体だったが、その場に立ち上がるオルロ、スランマとロスト。
「(うむ……、吾輩の『
振るわれる大剣をその身一つで受止め弾き、隙あらば自身の拳を打ち込むも、最小限の動きで避けられてしまう。
あたかも何処に拳が打ち込まれるのかが分かっているかの様に
「不思議ソウダナ、ニンゲン。侵略者ニ破レ、目ノ前デ護ルベキ王女ヲ殺害サレ、ソシテ私モ後ヲ追ワセル様ニ一度殺サレタガ、憎シミと怒リガ、蹂躙サレ散ッテ逝ッタ民達ノ負ノ感情ガ私ヲ魔物ノ形デコノ地ニ留メ、皮肉ニモ私ヲ殺シタ者カラ授カッタコノ憎キ
止まる事をしらないジェネラルは大剣を振りながら迫り。
「私ノ特性『千里眼』ノ前デハ無力!! コノ力ヲモッテ未来ヲ見透カシ、『憤怒ノ魔人』ニ復讐ヲ!」
遂にスキンの『
大剣を突き立て一直線に突進をしてくる。
「(くっ……、ここまでか)」
隙をつかれた突きがスキンの腹部に到達する間際、咄嗟にスランマが割って入る。
スランマの腹部を穿ち、『体質変化』で身体を『
大剣の速度が鈍くなりやがては止まり、切っ先がスキンの腹部に軽く触れ、一筋の血液が流れるだけで済んだ。
「──スランマ殿!!」
「ここからは俺がやる」
「ロスト殿、それは無茶である。吾輩でこのありさま、下位魔術師であるロスト殿では」
「──分かってる。けど、こいつを俺の物に出来たらまた一歩目的に近ずける気がするんだ」
「何を言うでありますか! この者を『
「誰ガ、誰ガ人間ノ手ニ堕チルモノカ!! マシテヤ貴様ノ様ナ
再び憤怒するジェネラルの獅子型兜の目が紅く光り、咆哮の様に叫ぶ。
「(スランマ! 特性『
「(承知しました、
スランマの素材となっている『スライム』の特性『分裂』。
分裂は幾らでも出来るが、する事に身体は縮み幼い見た目になると同時に、一体一体の
今のスランマだと二体までなら強力なまま。
『体質変化』によりスランマ(一)は本来の軟体ジェリー状の体に酸の濃度を上げ、強酸性に。
スランマ(ニ)は『
『
二体のスランマは背を向け合い八極拳の構えをとり。
後方でロストとオルロは
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