第七話 呪われた王国跡地
カインはスランマの前に立ち塞がると殴る、殴る、殴りの連打。
「そんなちっぽけな打撃が効く訳ないだろ?」
「何事もやってみないと分からんだろ! 例え殆どの打撃を無効に出来る
これだから脳筋は……。
確かにスキン先生程の打撃力と打撃力を更に向上させるような魔術があれば、スランマを打撃だけで突破出来るかもしれない。
が、到底無理な話。
スキン先生が少し──いや、かなり特殊なだけだ。
「こっちもそろそろ攻撃させてもらうぜ?」
と、スランマに目線をやる。
スランマはロストの視線に気が付き、掌底を突き出す。
「──あぶねっ!」
すかさず攻撃から両腕を縦に合わせて身を守るが、ずるように後退してしまうカイン。
「あれ? スランマの服装が少し変わってるじゃない」
「よく気がついたな。流石に着物じゃ戦いずらいだろ? だから戦いの時だけチャイナ服風になってんだよ、元の着物が」
「やっぱりそういうのが好きなの? ロストって」
「だー!! さっきから違うって言ってるだろ! 余り俺の好きな本のキャラを崩したくなかったんだ!!」
「──ふーん」
またしても訝しげにロストを見やるアミ。
たく、どうしても俺の好みにしたがるのどうにかならないのかよ。
深く溜息を付くとロストは顔を上げ。
「(なぁ、スランマ)」
「(なんでしょうか
「(見せてやろうぜ、カインにあれを)」
「(承知しました。して、どの変化で?)」
「(そうだな……。接近戦で打ちのめして黙らせてやりたいからな、
指示を聞いたスランマの身体がみるみるの銀色へと変わっていき。
「なんだその姿わ!?」
「驚け、カイン! これはスライムの特性『
自信に満ちた面持ちでカインにスランマを自慢していると。
「(──
「(相変わらず
と、溜息をつきながら後頭部を掻く。
「(後はめっためたにぶっ飛ばしてやれ!)」
「(承知しました)」
スランマは八卦掌の構えをとり。
走り近寄っていたカインが殴ろうと突き出した拳を去なし。
掌底を突き上げカインの顎に当てる。
そのまま鉄山靠で後方に吹き飛ばす。
攻防一体の動きが見事にハマった形となった。
「くそ…、俺様がロストの
「だから言っただろ? 俺のスランマがお前に負ける訳ねぇ、ってよ」
「この屈辱、いつか晴らしてやる!」
「言ってろ、孤高の天才さんよ」
馬鹿にしたような言い方でカインを煽るロスト。
「見事な連携。素晴らしい体捌きである、先程のスランマ殿の動き」
と、感心するスキン。
スキン班はここ最近妙な声が聞こえると依頼がきた、何年も前に無くなってしまった王国の跡地に向かっていた。
なんでも夜になると王国跡地から叫び声が近隣の村まで聞こえてくるとか。
叫び声に怯えた近隣の村住民が次第に王国跡地を『呪われた王国跡地』と呼ぶように。
何故叫び声が聞こえてくるのか、その原因の解明、対処をしてほしい、との
王国跡地には多くのゴブリンが見受けられている為、原因はそこに巣を作ったゴブリンが原因だろ、との事でこのランク帯になっている。
「そろそろ着きますぞ!」
「あれが王国跡地なんですか? 意外と建物とか残ってるのね」
戦争があったのであろう形跡がチラホラとあり、崩れたり古びてはいるが住宅や王宮が今だ残っている。
建て直し新たな住民や国王が住まえば、また王国としてやっていけそうなレベルだった。
「先ずは原因と思わしきゴブリンの駆除にあたるである! 狡猾ゆえ、心してかかるように」
「FとかEランクの任務や依頼じゃこんなしょぼいのばっかりだよなぁ」
「ほら、ちゃんとしっかりやりなさい? どのランクのクエストでも立派な仕事なんだから」
「ふん、ロストはまだまだ分かってないな。どんだけ低いランクのクエストでも、数をこなしていけば自ずと認められ、上にいけるかもしれん!!」
「──へいへい」
文句を言いながらも巣穴を見つけては中に居るゴブリン達を一掃。
建物内にいるゴブリン達を倒しては素材になりそうな物だけ、皆は倒したゴブリンから取っていった。
次々とゴブリン達を倒していくとやがて日が落ち始め。
その頃には殆どのゴブリンを倒し終えていた。
「最後はあの王宮の中かぁ」
「そうみたいであるな」
「えぇ、ちょっと怖いんだけど……」
そんな事を話していると王宮の中からけたたましい『オォオオオオ!!』と泣いているとも感じられる叫び声が。
「ほ、ほらぁ、何か叫び声するじゃない」
「そもそもその叫び声の原因の解明と対処するのが今回の依頼だろ?」
「そそそれは分かってるの! でも怖いじゃない」
と、終始怯えるアミを他所に。
「面白くなってきたじゃねーか! この俺様が解明してやる!!」
一人、この依頼に燃えるカイン。
「(スランマ、なんだか分かるか? この声の正体)」
「(分かりかねます。ですが、予想として亡霊系統の魔物の類かと)」
「(亡霊ねぇ……)」
念の為と、ロストは
直ぐ危険に対処出来るようにとスランマとオルロの二体体制に。
「気を引き締めて行くであるぞ!」
スキン班の一同は王宮の扉を開け、中へと歩を進めていく。
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