第六話 一人目『スランマ』
「ねぇ、今回はどんな
「どんだけ可愛いやつ製造してほしいんだよ……。まぁ、今回は可愛いやつかな?」
初の
アミはロストの自宅に訪れ、どんな
今回はアミの要望もあり、可愛い
そこで準備した素材となる魔物。
ジェリー状の
少年、少女と変わらない背丈に人型の影で真っ黒な魔物『ミミクリィ』。
この二体を組み合わせる事で人型の
いつもの様に魔物を解体、素体の
特大の鍋に魔物石と必要な魔物の部位を放り込み、混ぜ込んだ後に生体魔術の中で中級魔術にあたる『
「相変わらず
「──しょうがないだろ。俺が魔術覚えればこんな面倒な工程もなくなるんだけどな。繊細さが増すからどの道面倒か、違う意味で」
鍋内の液体がゴポゴポ、と音をたて。
光を放つと鍋に亀裂が入り始め、大きな音をたてて鍋が壊れ。
中からジェリー状でありながら人型の魔物が姿を露にした。
「よし! 成功だ」
「これの何処が可愛いのよ! スライムが人型になっただけじゃない」
「まぁまぁ、ここから可愛くなるからって。先ずは魔力多めに名前付けだな! 少しでも強化して、スキン先生の打撃にも耐えうる
ロストは魔力を練り「お前の名前は『スランマ』だ!!」と、新たな
「名ずけは終わったし、後はミミクリィの特性『
『
「(スランマ、擬態してほしいんだ。そうだなぁ……、試しにアミに擬態してくれ」
「ピギ? (
「(そうだ、一緒に居るオレンジ髪の)」
伝え終えるとスランマの体が流動的になり、みるみるうちにアミと同じ背丈、髪、身体と変わっていく。
「──す、凄い!私と瓜二つじゃない!!」
スランマとアミは至近距離で顔を見合わせ、全く変わりない姿に驚きを露にする。
「上出来だ! これで後は俺の好きな……」
と、にやにや何か企むロストの顔をアミとスランマは怪訝そうに見た。
「聞いたでありますぞ! ロスト殿!! 遂に
「あぁ、出来たぜ」
皆で訓練室に移動すると。
「アミの一言とスキン先生との戦いから作った
魔法陣から一六〇cm程の背丈に桃色のショートヘア。
黒い生地で全体に桜の柄が描かれた
「こういうのが好みなの? ロストは」
「そういう訳じゃないわ! 昔好きで読んでた絵本に出てきたキャラクターなんだよ」
「──ふーん」
と、ロストをアミは訝しげに見やった
「こいつがスライム駆除の時に言ってた打撃を無効に出来るであろう
「はぁ!? 何を急に言ってんだよ!」
「まぁまぁ良いではないか、ロスト殿。ここは──」
「はっ! 俺様に負けるのが怖くて勝負にも出せないか。それじゃ、スキン先生の打撃を無効にするなんて夢のまた夢だな」
スキンが喋るのに被せる様にして、カインはロストに発破をかける。
「望むところじゃねぇか! 俺の
「言ってやがれ、変人野郎!!」
「んだと、トサカ野郎!!」
二人は火花を散らし睨み合うと一定の距離をとり。
スランマとカインの戦いが始まろうとしていた。
「負けても後悔するなよ?」
「言ってろ! 俺のスランマが負ける訳がない」
カインは小手調べと言わんばかりに地魔術の下級魔術に位置する『
鋭利になった小ぶりの岩がスランマに向かって飛んでいく。
──鋭利な岩はスランマに突き刺さりはしたが貫かれる事はなく、破れた着物はみるみる修復され。
「そんな攻撃が効く訳ないだろ? 地魔術は魔術の中でも物理魔術が多い。お前の得意としてる魔術とは相性が悪いぜ? なんせ、衣服もスランマの一部から出来てるからな、再生もするし、体内は酸性で濃度は自由自在だ!」
「何を言ってやがる! そうでなきゃ困るんだよ、スキン先生に言われてるからな。俺の修行にもってこいな
何を勝手な事をカインに吹き込んでんだよ、スキン先生。
使用テストとしてはもってこいだけど。
「次はこの魔術でいく!! 『
岩が次々とカインの両手を覆い、無骨な岩で作られた
「更に『
に、二重魔術!!
魔力消費量も多く魔力コントロールの難しい二重魔術を。
失敗したら暴発するってのに、カインのやつ!
──おもしれぇ!!
「やるじゃねぇか。基礎魔術とはいえ、二重魔術を使うなんて」
「ふっ! 俺様は孤高の天才だからな!! ──行くぞっ!」
床を踏みしめスランマに向かって駆け出した。
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