オンライン授業

 

オンライン授業

 やばい、やばい、やばい。オンライン授業を受けようと、パソコンを開いたが、どうしてもミュートにならない。というか、ミュートボタンがどこにもない。どうしよう。あと、5分で授業が始まってしまうのに。授業に参加しないという手もあるが、それでは単位が取れない。じゃあ、教授に連絡すればいいだろうと思う人もいるだろうが、教授の昨日のメールには仮に、オンライン授業で不具合が起こったとしても、個人のことは一切対処しないと書かれていたのだ。チャットを見る限り、みんな何も書き込んでいない。これはきっと、私のパソコンだけがおかしいのだろう。昨日の夜はちゃんと使えたのに。なんで私だけ。ということで、私はミーティング画面から一旦退室した。


 スマホでミュートの仕方を調べてみるも、私と同じ現象に会った人はいないらしく、何も出てこなかった。その頃、隣の家から草刈り機の音が聞こえてきた。ガガガガガという大きな音が私の部屋にも響き渡る。これは、まずい。この状態でオンライン授業を受けたら、ミュートにしてないのがバレて、絶対にうるさいと怒られるに違いない。だから、私は窓を開け、おじいさんに向かって「あのー、今からオンライン授業を受けるので1時間だけ、草刈りをするのやめてもらっていいですかー?」と大声で言った。しかし、草刈り機の音がうるさいのか聞こえないらしい。授業が始まるで残り3分しかない。もういいや。私は部屋の隅に置かれたライフルを手に取った。そして、照準を定めると、おじいさんの背中から心臓を撃ち抜いた。はしごで草を刈っていたおじいさんは、バランスを崩し、草の上に落ちた。死んだかな?死んでるといいんだけど。しかし、手がピクリと動いたように見えたので、もう一度心臓を撃ち抜いた。これでよしっ。それから、私はライフルを床に置き、ミーティングに参加するボタンを押した。そして心置きなく、授業を受けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オンライン授業   @hanashiro_himeka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ