第2話
実際、彼女の言葉通り奢ってしまうのだから不思議である。
ここら一帯に数店舗しかないコンビニで二人分のアイスを買い、駐車場前で食べている。ひんやりするこのアイスは、図書館の冷房の次に癒しとなる存在だ。
心奪われる程の快晴の空。浮かぶ雲がさらにその魅力を引き立たせる。こんな日は部屋でその日差しを浴びながら、ゆっくり寝たいものだ。
彼女もこの意見には同意らしく、図書館で時間を潰したのは失敗だったかも、と独り言を言っている。
アイスを食べながら、このあとはどうするの?、と空ちゃんが問いかけてくる。
「資料になりそうな本も借りてきたし、家に帰ってレポート作成かな。期限もギリギリだし急がないと」
「ふーん?頑張るのもいいけど、ちゃんと息抜きもするんだよ?」
ありがとう、と言葉を返しつつ、達観したような言動に、どこか大人さを感じた。
レポート制作というのは中々辛いものである。
特に、資料を必要とするものは、資料を探し、よく読んだあとにようやく制作に取り掛かれる。故に、実力を発揮するだけのテストは気楽でいいのだ。
「……しんど」
僕と言う存在はとても愚かである。面倒であるから後回しにする。例えそれが更に面倒になったとしても。今までの人生で気付いてきただろうにも、この頭では改善させる方法がわからなかった。
こんな時思い出すのは空ちゃんである。僕よりも年下だろう彼女は、あんなにも難しそうな本を読んで何かに取り組んでいるーー。そう思うことだけが、自身の課題に取り組み続ける支えだった。
あれから数日が経つ。空ちゃんは何をしているだろうか。
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