第5話 イラストのお話
商業化で何が楽しみって、それはプロのイラストレーターさんに書いてもらう自作のキャラクターではないでしょうか。
自分の性癖そのままに書いたキャラクターたちにビジュアルがつく。
控えめに言っても神……。ただのご褒美です。
黒狼王とわた処女はMW文庫さんで書籍化が決まりましたので、最初の打ち合わせで表紙の方向性を決めました。
MW文庫さんはライト文芸、キャラ文芸と呼ばれるレーベルさんで、コンテストの受賞連絡で担当レーベルさんのお名前を聞いた時は「マジか」という一言に尽きました。
わたしの作風で大丈夫……?? と。
そのあたりのお話はまた別の機会にするとして、イラストです。
ここは一つバーンとキャラクターを前面に押し出そうということになり(あの内容で文芸色の強い表紙になったら、絶対に売れないと思う)、担当さんたちがイラストレーターさんを選定してくださいました。
実はわたし、性癖が黒髪ヒーローでして。
あの当時、黒髪ヒーローばかり量産していました。
そして、その黒髪ヒーローたちが続々と商業化。
ということは、性癖ママの黒髪ヒーローのイラストが届くわけです。
控えめに言っても神です。
ご褒美でしかない。
オルティウスもクリスもアレックスもヴァレルも控えめに言っても最高。
しかも前述三人は何も言っていないのに黒手袋というオプション付き。
最オブ高です。エモい。鬼ヤバです。
騎士服も大好きだしフロックコートも大好きだし、すごいイラストレーターさんに担当してもらえるし。
しかもラフ画と完成絵と2回も堪能できるんですよ。
挿絵ありレーベルさんだと、挿絵まで見れちゃいます。
ちなみに挿絵の場所を考えるのは担当さんのお仕事です。
わたしに権限はありません。
ただ、挿絵は物語の重要なシーンとか、映えるシーンが選ばれますので、なんとなく予想はできます。
あと改稿の時に「ここ挿絵入れる予定なのでどういう服着ているのか書き足してください」などと担当さんからコメントが入っていたり。
フロックコートの場合は簡単ですが、ドレスだとちょっと描写が難しいです。特にファンタジーの場合はドレスのバリエーションは無限大なので。
19世紀の世界観で書くときは、クリノリンスタイルかバッスルスタイルかどちらかで、と書いておきます。あとは当時の写真や絵を担当さんに送ります。
なぜ溺では、エヴァイスの寝間着が挿絵に入ったのですが、とっても悩みました。
19世紀っぽくするととんでもなくダサ……ごにょごにょ。
担当さんに「史実通りでいきますか? ちなみにこんな感じですが」と参考資料を見せられ……「これはちょっと……。ダサ、いや、何でも……。ここは映え重視で」となり、今風の襟付きスタイルに落ち着きました。
乙女小説なんだから、トキメキ大事。映え重視です。
そんなこんなで毎回参考資料集めに奔走し、頭の中に浮かんだイメージを画像検索して担当さんたちに送っています。
(某作品ではゴシックロリータの写真を送ったら、担当さんからちょっとうちの読者層と……というコメントをもらったのもいい思い出です)
レーベルさんによっては表紙案2枚ほどラフ画に起こしてもらい、どちらも作者に見せてくれたりするので、役得です。
2作品ほど、表紙ラフ2案いただいたことあり「うわぁぁ、どっちも素敵」と作者特権を噛みしめていました。
キャラクターが前面に出ている系の小説の場合、とにかく表紙が命だとわたしは思っています。
わたしが、表紙買いをするタイプの読者だからかもしれませんが。
黒狼王に関しては表紙買いをしてくださった読者さんが多かったのではないでしょうか。
あの結婚式の表紙、本当に神がかっていますよね。
3版までいったのはあの表紙のおかげです。あとは流行りのシンデレラストーリー要素。
担当さん曰く、社内でも評判がよかったとのことです。
素晴らしい表紙絵はその後のイラストレーターさんのお仕事にも繋がるので、毎回皆さん気合を入れて描いてくださいます。
ありがたいことです。
みんなでいいものを作っていく。これが書籍だと思います。
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