第34話



城の周辺に人の気配は無く、聞こえてくるのは地面を叩きつける蹄の交差音と吹き付ける風の音だけ


金色の長い髪をなびかせながら、一点を見つめて手綱をあやつるルイ。


平行して走るその微動だにしないルイの真剣な横顔を、つい、見入ってしまっていた。


!?…


『 ダダッ ダダッ ダダッ ダダ・・ 』


「  何を見ている! 」


「 別に 」


「 先程から見てるだろう!ハイヤーッ!  」


ルイの掛け声と共にスピードを速めるブロン、すると馬の体ひとつ分前に出た。


しかし、すかさず追い上げるノア、また、二頭は平行になる。


「  見て悪いか?  」


「 見られるのは嫌だ、特にお前のようなミタモフウズには… 」


「  ふん!…また人を変態扱いしやがって…別にいいだろ、見たって減るもんじゃない、それに…お前は綺麗だ… 」


「 なッ…何を言う!綺麗もクソもない…剣あるのみだ!くだらない事を言ってないで、黙ってついてこい!…ハイヤーッ!  」


「  お前が先に声を掛けてきたんだろうが……ふっ… 」


確かに…


男に言ったところで、何の見返りもないだろう…


まぁ、こちらも下心があって言った訳じゃない、綺麗さの度が違う。


逆に、ルイを男として見ていたからかもしれない。


「  おい!止まるぞ! 」


突然のルイの言葉に、二頭の馬は走るのをやめた。


「  どうした!?  」


「 黙れ!……静かに・・・・ )


( … )


( やつらだ… )


( ドルマか? )


( 正面からくるとはな… )


( 何処にいる!? )

 


ルイは俺の頭上を見据えている。



「 そこだッ!!! 」


『 ビュンッ! 』



ルイは騎乗位のまま、俺の背後にある、大きな木の密集している部分に弓を射った。


ヒラヒラと数枚、舞い落ちる木の葉



「 ぶっはははは…


ほう…


財力だけのエリート国家だと思っていたが…


少しは腕の立つ奴がいるようだなぁ…


残念だが、うちの諜報機関もたいしたことがないのう… 」



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