第23話
途中から入れ代わったメイドは、ある部屋の扉の前で立ち止まった。
「 こちらがインサーラでございます 」
ここは!?
全面真っ白な石で囲まれた広い部屋の中に、陶器のような物でできた流線形の船が置いてある。
「 ケント様、あとは私にお任せ下さい 」
メイドはいきなり俺の着物を脱がし始めた。
「 ちょっと待て! 」
「 どうなされました? 」
「 何をする気だ? 」
「 することはひとつ、ケント様のお体を綺麗にして差し上げるだけでございます…メイドの、つ と め、ですから 」
風呂?
「 それとも、他にお望みがあるのでしたら・・特別にこのわたくしがお相手いたしてもよろしいですわよ… 」
「 なッ 何もいらない 」
「 フフフ、冗談でございますよ、可愛いですわね 」
メイドは全ての衣服を脱ぎ捨てると、妖艶な、そのあらわな姿をさらけだした。
振り向きざまに、顔に巻きつけていた布も取り、ぴったりと俺に近づけてきた。
それも、彼女の吐息がはっきりと感じるほど近く、あの闘いの時と同じように。
うッ!・・似ている。
この甘い香り、金色の髪、それに碧い瞳・・
「 お!おまえは!ルイ!? 」
「 フン?・アッハハハハッ、冗談はおやめになって下さいませ? このわたくしが、ルイ様ですって? 」
「 違うのか?… 」
「 ルイはわたくしの双子の弟、男性にこのようなものがおありでしょうか? 」
そう言いながら、アリスは豊満な胸を脇から押さえあげ、惜しげもなく剣人の目の前に晒しだした。
「 わ・わかったから・・・もういい… 」
ルイが男!?
だが、あの時の感触は確かに…
「 我が名はアリス、王子の姉ですわ 」
「 国王の娘?・・ならば、なぜ王女がメイドになりすましている? 」
「 フランセ一最強の弟が惚れ込んだ殿方、そのケント様に興味を抱きましたの・・フフフ・・それより、その椅子にお座りください、ケント様のお体をす・べ・て・・ツルツルにして差し上げますわ・・ふふふ 」
「 おっおい!・・・」
はっ!!
こんな美しい身体は見たことがない
なんという筋肉美、それに、なんて素敵なディ・・でしょう…ああ…
今すぐ欲しい…
艶やかな黒髪が悩ましく、神秘的にさえ感じさせる。
凛凛しい眉毛に鋭い眼差し、始めは坊やだと思っていたのに、まるで違うではないか。
数知れない男性と夜を過ごしてきたけれど
逞しすぎる綺麗、思わず見惚れてしまうわ。
ああっ…ケント様
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