第21話  ALICE


「 どうぞ、お入り下さいませ 」


大きな扉が開き中に入ると、まるで夢の中にでもいるような錯覚に陥った。


光る床は水辺のように透き通り、高い天井にはいくつもの鏡が煌びやかに光る、そしてその下には、数えきれないくらいの蝋燭が、金色の枠の上に円形状に綺麗に連なっている。


色彩を施したいくつもの大きな窓からは、太陽の光が眩しいくらいに映え、外と変わらないくらいの明るい世界が広がっていたのだ。


「 ケント様にはまず別室のほうへ行っていただきます、ではお前達、インサーラにこの方をご案内しなさい、頼んだぞ 」


「 はい、かしこまりました、ラファエル様 」


「 インサーラ?・・ 」


「 さよう・・見たところ、お爺さんの家では清潔にされておられなかったようですな・・失礼ですが、少々臭っておられますようで・・ケント様を綺麗にするようにと、ルイ様より強く申せつけられておりましたもので・・ 」


「 どういう意味だ! 」


ラファエルの話を聞いて、少しだけクスっと笑っていた女性2人は真顔に戻ると、黒尽くめの着物の上に、白い飾りがついた布を巻きつけた。


広がった着物の裾を持ち上げながらお辞儀をしたあと、ピンク色に染まったほほに微笑みを見せながら俺の両脇にぴったりと並んだ。


「 さよう・・今回は、ここにいる2人のメイドがお世話を致します 」


!?・・


「 私達がツルツルにして差し上げます、ではまいりましょうか 」


ツルツル?・・


このもの達は、いったい何を言っているのだ?・・


「 私はひとまず、王様のところへご報告に・・では、ごゆるりと 」


ラファエルは部屋を出て行ってしまった。



・・・



剣人とラファエルの様子を、影から見ていた人物がいた。



あれが、ルイが目をつけたという若者か・・


よく見えないが・・


あのルイのプロフェッサーとなるまでの殿方・・


放っておくわけにはゆかぬ・・


ンフフフ

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