第17話


「 お爺さん、欲しい物は? 」


「 何もいらぬ…おまえのおかげで徴集は免除、更に、納税もおまえと引き換えに、免税となった、それだけで、もう十分じゃ・・」


試合は引き分けと判断されたが、ルイに気に入られた剣人のおかげで、更に一つだけ願いを叶えるという事を条件に、剣人がお城に入るという話になったのだ。


「 わしはもう長くない、しかし、剣人、おまえはこれからこの国、いや、それ以上の未知なる世界の為にも生きて行くのじゃ・・おまえの夢を叶える時代ときじゃ・・」


「 爺さん・・ 」



一週間後ーー



お爺さんの家の前に馬車が止まり、中から一人の役人が降り立つと、手鏡を見ながら口髭を整髪しているのだろうか、暫く指でなぞっている。


納得したらしく、一人で頷くと慎重な面持ちでお爺さんの家の扉の前に立ち止まり、大きく息を吸った。


『 ルイ様のお使いで御座います! 』


「 うわッ! 」

「 な、何事じゃ? 」


村中に聞こえるような大声に、ケントとお爺さんはびっくりしながら入り口に駆け寄った。

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