第14話


「 どこだ! 」


剣人を見失ったルイは辺りを見回す、しかし剣人の姿はない。


「 坊やの気配が消えた!ん? なに? 」


しまった!


「 秘技 鷲爪刺シュウソウシの舞! 」


剣人の声がルイの頭上から聞こえてきた。


「 ば、馬鹿な! いない! 」


斬られる瞬間に剣人は身をかわし、ルイの頭上より遥か高く跳んでいたのだ。


【 人をも襲うイヌ鷲のように、遥か上空より獲物を狙い急降下、そこから水平に風のように舞い、一瞬のうちに敵の急所を捉え刺す技 】


物心がついた頃から父上から伝授してもらい、修行を積んできた必殺の技だ。


声に気づいた時には既に遅し、ルイは急所を、すなわち心臓付近を、剣人の右手で鷲掴みにされていたのだ。


声だけを天に残して。



あの甘い香りがする…


!!??


よし!・・ハッ?


何だ!? この柔らかい感触?


「 スーソンビィアン!ノ!ノン!アンッ!ヤッ!ヤダーッ! 」


ルイのソードは、あと一歩のところで剣人を掠める程度、しかし、すでに剣人の手はルイの胸をめがけ、確実に心臓付近を捉えてた!・・・はずだったが…


剣人の指はトドメをさせず、躊躇を余儀なくさせられてしまった。


こ、こいつは!?


剣人は致命的な隙をつくってしまった。


次の瞬間!

 

剣人の頬にルイの平手打ちが炸裂する。


『 バシッ! 』


「 ウ!ゥボウ!ミタモフウズ!こ!この!ド変態ッ!


「 うッ! 」


その勢いで体制を崩してしまった剣人の首に、ルイのソードが振り下ろされようとしていた。


「 しまった! 」


「 さよなら・・・ぼうや・・・ 」


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