第13話


「 どうした坊や? 怖くて動けないのか? 」


銀のやつ、まったく隙がない、下手に動いたらやられてしまうだろう


ん?…だけど…そうか!


「 なら・・こちらから行かせてもらう!ハッ! 」


ルイは一瞬でケントに近づくと、ものすごい勢いでソードを振り下ろした。


「 もらった! 」


誰もが、ルイのソードがケントを切り裂いたと思った。


ところが、ケントはその場所から一歩も動いていないにもかかわらず、無傷のままだ。


!?確かに坊やの身体を捉えたと思ったのに・・


危なかった。

 

銀のやつの動きハンパねえ、あのスピードは予想以上だ。


ほんの一瞬の差でかわしたが、少し遅ければ間違いなく斬られていただろう。


だが、やっぱり思わく通り、あの銀の鎧を着ているせいで動きが鈍っている、けど、こいつ、やっぱりすげえ!楽しませてくれるぜ!


「 スプチガッソンこの坊やセジスタンギャッソンただの坊やじゃないな 」


二人の攻防はそのまま数回にわたり続いた。


軍事役人とお爺さんは、ふたりの戦いを見ていたが、あまりの動きの速さに目がついていけない。


なにしろ、瞬きをしている間に、次の体勢に移ってしまっているのだから・・


「 ・・お、おい・ジジイ!あの少年は何ものなんだ? 」


最初とはうって変わり、背の高い軍事役人ラファエルもケントのことをガキ扱いしなくなっていた。


「 わしにもわからん、しかし、ただ言えるとすれば、東洋の神秘じゃろう 」


「 東洋?だが信じられん!ルイ様と互角に渡り合える奴なんて…初めて見たぜ 」


ふたりの戦いはなかなか決まらない、すると、突然銀の鎧をつけていたルイは、ケントから少し離れると、鎧を全て脱ぎ捨てた。



「 な、なに!?銀のやつ鎧を脱ぎやがった…!? 」


「 ウヴジョン!ヴィニア! さあ!こいッ!  」


まじか?


…鎧を身につけていてあの動き…そいつが今、生身の身体になった…やられるかもしれぬ。


だが…




そろそろ本気でいくか!


「 アルノーズィ!いくぞ ! 」


「 ふん!坊や、いきがっても無駄、このオレが本気を出したら…どうなるか教えてやる! 」


ルイは目にも止まらね速さで剣人に斬りかかった。


「 クワッ! エイッ!


しかし、土埃の中に剣人は消えていた。 


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