第9話


「 知ってはいると思うが、我が国は度重なる戦により経済的にひっ迫しておる、したがって国王様より徴集命令が下された 」


「 徴集!? ま、待ってくれ、うちにはもうこれ以上納める余裕などない 」


「 それでは仕方がないな、拒否する者は奴隷になってもらいお国の為に働いてもらう…それでも良いのだな? 」


「 無理を申すな…このヨボヨボの老人に、あんな重労働など出来るわけがない 」


「 まぁ、即戦力になるくらいの腕っぷしのある奴がいたなら話は別だが、なんせ俺らも掛け持ちで戦場にかりだされているからな、超兵士不足なわけだ、しかし、あんたみたいな爺さんじゃ話にならん、いずれにせよ食料を納める道しかなかろう!わかったら早く案内してくれないか? 」


「 無理じゃ、そんなことをされたら生きていけん 」


わしひとりならなんとか、しかし今は剣人がおる…


「 この通りじゃ! 」


お爺さんは土下座をして謝っている。


あいつらの言っている言葉は少し難しくてよくわからないが、お爺さんはかなり追い込まれているのは確かだ!



「 つべこべ言わずに案内しろ! 」


「 そ、それだけはやめてくだされ 」


「 ジジイ! 離せ! 」


『 バシッ! ドサッ 』


無理矢理に穀物庫の方へ入って行こうとした役人達を、止めに入ったお爺さんが大男に投げ飛ばされてしまったのだ。


「 お爺さん! 」


思わず声を出してしまった。


「 キィッだれだッ!? 」


「 貴様ら! 」


俺は爺さんに駆け寄り身体を支え上げ立たせてあげた。


「 大丈夫 お爺さん 」


「 あれほど出てくるなと言ったはず・・」


俺の腕にしがみつきながら、お爺さんは力なくか細い声で言った。


「 クワッ?ネスパスアンノフォンなんだ?ガキじゃねえか 」


「 貴様ら許さねえッ! 」


「 何を言ってるんだこのガキ 」


気がつくと俺は、この鉄の仮面を被った大男の前に立ちはだかっていたのだ。


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