葬送感謝編

第57話 葬送

「わたくし」のが癌で亡くなった。

 病弱な母が亡くなって、1年足らずで後を追う様に逝ってしまった。


 葬儀や母と一緒の納骨が終わり、の自宅の処分も終えて、明日は夫や子供が待つ我が家に帰るだけになった。

 1人でホテルの部屋に戻ると、わたくしはに初めて会った時の事を思い出していた。



 がわたくしのになったのは、わたくしが10代前半の頃だ。前の父屑男は酒乱でDVだった。わたくしが物心ついた時から、何時も母は泣いていた。やがて、前の父屑男がDVだけで無く、わたくしの貞操に食指が動いた時、母はわたくしを連れて家を飛び出した。


 遠い地方で母娘2人の生活を始めた。母が生活の為に働いていた職場の上司がであった。


 はわたくし達母娘に対して親身に対応してくれて、衣食住の世話までしてくれた。


 何処で情報を得たのか、前の父屑男がわたくし達母娘を連れ戻しに来た時、前の父屑男と母の間に立ち、壁になって前の父屑男の暴力から母を守ってくれた。は弁護士や家庭裁判所を使って、前の父屑男と母の離婚をまとめてくれた。



 母はその恩に報いる為に、と再婚をした。



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