第45話 復学
彼が入院して3ヶ月が過ぎた。
彼の病状は段々と回復していた。薬を飲んでいれば妄想や不安に襲われることは無くなっていた。
ボンヤリしていた彼の意識もハッキリして、気力も徐々に戻って来ていた。
主治医は彼が病院から学校へ登校することを許可した。
彼が卒業するには出席日数が足りない為であった。
12月、彼は再び学校に姿を現した・・・
彼の欠席の表向きの理由は「内臓の病気」と言うことになっていた。
学校で事実を知っているのは、担任とごく少数の教師と同志とアイツと彼女達だけであった。
元々クラスでは彼は目立たない存在であった。
そして、大学受験目前の大事な時期だったので、クラスの人達で彼のことを気にする人は1人もいなかった。
返ってそのことが、彼には助かっていた。
事情を知らない他人との対応を取らずに済んだからだ。
授業を受けていても教師の講義は、彼の頭の中を通り過ぎていくだけであった。
彼は教室の中で誰とも会話をせずに、時間が過ぎるのをただ待っているだけであった。
学校での彼の唯一の慰安は、同志やアイツや彼女達と放課後に2・3言会話をすることだけであった。
彼は彼女と会っても動揺はせず、平静な気持ちで話をすることが出来る様になっていた。
空気の様な存在として彼は学校への登校を続けていた・・・
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