第43話 療養


自分を見つめる 孤独な毎日

悲しみにくれる 家族達・・・



彼は精神科病棟に入院してから1週間、ひたすら眠り続けていた。

彼は1日15時間以上睡眠を取っていた。

残りの起きている時間も薬の作用で空虚な時を過していた。



医師の処方する薬は強力であった。

彼は妄想や不安に襲われることは無くなっていた.。

そしてあの「演技」をやる気力も失っていた。


彼は殆ど物事を考えることが出来なくなっていた。

彼が好きだった読書も活字が全く頭に入らなくなっていた。


医師は彼の様子を診ながら薬の処方を変えていった。

薬の作用が強すぎると、彼の平衡感覚が狂って立ち上がることさえ出来なくなってしまった。

逆に作用が弱いと、説明の出来ない不安感で彼は落ち着くことが出来なくなっていた。


入院2週間目になると、薬の処方も安定して副作用も少なくなった。

彼は毎日、病室で何も考えず眠り続けるだけであった。



それは、今迄の不眠であった時間を取り戻しているかの様であった・・・

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