第5話 誤算

一方、彼の中学校生活は順風満帆であった。

彼と同じ小学校出身の生徒は多数いて、クラスの半分以上は顔見知りであった。

部活動も地理部一つに絞ったので、集中して活動することが出来た。

あのまま掛け持ちでいたら、両方とも中途半端に終わったことであろう。


勉強の方も少し要領良くやれば、そこそこ良い成績を修められることが解った。

彼は日々の勉強を少し手を抜くようにした。

その分、クラス活動や部活動に力を入れる様になった。



それが後に彼のになってしまった・・・



あの人の所属する演劇部は夏休みの演劇祭の他に、秋の文化祭と春の卒業レクリエーションにそれぞれ芝居を発表していた。

学校の講堂の狭いステージでも、あの人は主役として十分に躍動していた!


ステージ上で輝いているあの人を観て、彼は教室の隅でイジメられている時のあの人の顔を思い出していた。



もう、彼にとってあの人はだけの存在では無くなっていた・・・

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