第6話 邂逅

中学2年のクラス換えで彼はあの人と同じクラスになった。



5月の林間学校では、彼はあの人と同じ班になり一緒にカレーを作ったりしたのだった。

この時に彼は事務的であるが、初めてあの人と会話をした。



たぶん、あの人が彼の存在を知ったのもこの時であっただろう・・・



同じクラスになってもこれまでと変わりなく、あの人と何の接点もなく日々が過ぎていった。

イジメをしていた首謀者が別のクラスになったので、あの人に対する露骨なイジメは無くなっていた。

同じ部活の女子も同級生になったので、教室で一人孤立することも無くなった。



あの人は教室でも、あの明るい笑顔を見せる様になった。



その笑顔を彼は遠目で見ているだけであった。

彼はあの人に話かけることは出来なかった。



特に要件も無く女子に話しかけることは、彼にとってはとてものいることであったのだ・・・

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