第4話 教室での影

しかしステージの上と違って、教室でのあの人はどこかであった。



あの人の小学校出身者は少なく、クラス内には殆ど友達がいない様であった。

その代わりなのか放送同好会と演劇部では、持ち前の明るさを発揮している様であった。


何が理由であったのか解らないが、あの人はクラスの女子の権力者に嫌われていた。

彼はあの人とクラスは違うが、あの人が廊下や教室の隅で複数の女子に囲まれて、言葉でイジメられているのを2・3度目撃していた。



彼はそのイジメを止める勇気を持っていなかった・・・



その時のあの人は口を真一文字に閉じて大きな目を見開いて

「決して負けるものか!」と決意をした顔をして相手をにらみ付けていた。

その態度が火に油を注ぎ、ますますイジメられていた。

結局進級してクラス換えになるまで、イジメは続いていた。



でもあの人は一度もイジメに屈することもなく、人前で泣いたこともなかった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る