第3話 ステージ上の光

中学生最初の夏休みが近づく頃、彼は担任の先生からある仕事を頼まれていた。


彼のクラスの担任は演劇部の顧問であった。

彼が頼まれた仕事は、夏休みに行われる市の「中学校演劇祭」での道具運びであった。


今回の芝居は学校が舞台であったので、ステージに机や椅子の搬入と搬出が必要であった。

しかし演劇部々員は全員女子であったので、力仕事が出来る男子が必要になったのだ。

演劇祭当日、彼の他に2・3人の男子が手伝いに参加した。


我が校の劇が始まった。

暗い客席にいる彼が、明るくなったステージを見上げて観ると・・・



あの人がいるではないか!



しかも、主役の少年の役であった!

小柄な体格から想像出来ない位の大きな声を発声して、あの人はステージの上を躍動していた!



彼はステージ上のあの人を眩しそうに見ていた。



あの人はステージの上ではとても光り輝いていた・・・

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