旧文明の遺構で盗掘をする『遺物漁り』の男が、天文研究所の遺跡で〝イカロス〟を見つける物語。
崩壊後の世界を描いた、いわゆるポストアポカリプスSFです。
何がいいってもう絵的な部分、想起される絵面の美しいこと!
煤けてうらぶれたどん詰まりの世界なのに、目に浮かぶのは廃墟から見上げる満点の星空。
宇宙や星といったモチーフの使われ方がとても綺麗で、読んでいるだけでワクワクしてしまうような、何か不思議なロマンのようなものに満ち満ちています。
とはいえ、一番好きなのはやはり登場人物。
彼らの性格そのものも素敵、というか、特に〝イカロス〟さんなんかは本当にいい性格してて大好きなんですけれど。
でもなによりもその「とった行動」や、また「そうさせた動機」のような部分が本当に良い。
彼ら心境のあり方やその変化、それを読み解くことの心地よさ。
地上の様相がどう変化しようと、星空は変わらず美しいんだろうなと思わせてくれるお話でした。
なんなら地上の明かりが減ったぶん、かえって綺麗に見えるかもしれませんね。