至って真面目に変態的な
誤解を招かぬように言っておくけど、私と琴音はエッチをしたことがない。
さっき琴音にああ言ったのは冗談というか、まぁそういう類のもので。
だけど。冗談で言ったのに、それを本気にして襲われるという展開も悪くない。
でも琴音のことだから、きっと凄く焦りながらしてくるんだろうなーだとか、変な体位になってしまってお互いに関節を痛めたりーだとか、そんなことがあるのだろうと思いながら、私は琴音の可愛さの前には抗えずに気持ち良くなってしまうのだろうなーって。とか言うが私もどうせ超下手くそなので、琴音を気持ち良くさせる前に私がバテて、不満気な顔を向けられて、私は愛想笑いを返すしか無くなるのだろうと思ったりした。
そういえば私はR18がオーケーになってしまった成人女性なので、そういう動画を借りて知識を身につけるのも良いのかもしれない──と思ったが、脳内でひょこっと現れた琴音が『私以外で気持ち良くなろうとするんですね。そうなんですね』と冷酷に言ってきたのでやめておこうと思った。
そんなことを妄想しているといつの間にか昼休みは終わっていた。とても有意義な妄想の時間だった。
身体が疼いた。ぶるぶる。お手洗い行きたい。
変態的思考は置いとくとして。琴音は三限の講義に出かけてしまった。
私はその講義を取っていなかったので、今はスマホと睨めっこをしている。
しかしスマホくんは表情を何一つ変えないので、決着は着きそうにない。
なんてつまらない冗談すらも置いとくとして、私は楓花のラインを開いた。
友達とは言え、アンサンブルの誘いのメッセージとなると、どこか緊張をしてしまう。
それでも背に腹はかえられぬ状態だったので、私は文章を打ち込み本能のままに送信ボタンをタップする。
『楓花。さっきの講義のアンサンブルのことなんだけど。一緒にやらない? キャパシティオーバーしてる?』
先生曰く、今回のアンサンブルは自分が複数の組に入るのが認められているらしい。
つまり。管楽器九重奏・金管五重奏があるとして、私がどちらともに入ることは良い、という意味だ。
というのは楽器編成の都合で足りない楽器があったりした時の救済処置である。
まぁそんなことをすれば単純計算で練習量が二倍になるわけだから、わざわざ自分から。という物好きもいないだろう。
だから、楓花が既に誰かと組んでいるにも関わらず許諾してくれたとしたら、私のために練習量を割くのも可哀想なので断ると思う……。それはそれで楓花の好意を無下にすることになるのでどうかとも思ってしまうけど。
『おっけー! 私も探していたところだから嬉しい!
しかし。神はいた。
私は安堵の溜息を吐きながら、タタタッと文字を打ち込む。
『良かったー! 藤崎さんもどうかなって思ってたので丁度よき! じゃあ、お願い!』
私は今一度溜息と共に「良かったー」と漏らし、この会話は終了。
……とはいかず。
『あ、曲はどうする? それに他の人とか』
送られてきた文章を見て、あ。確かに、と今更ながら思った。
そもそもチューバが活躍できる曲となると五人以上は必要だ。
だから。楓花と藤崎さん以外にも、あと二人は必要。となると……。
『えーっと。とりあえずは今日中に考えておきます!』
何も思いつかず、このまま考えてもこんがらがるだけな気がしたのでそんな風に保留にした。
それでも送ってしまった以上今日中に考えなければならない。
楓花も藤崎さんといちゃついてばっかりで、友達少ないだろうし。(ド偏見)
『りょうかーい。じゃあ、私は練習に戻るねー』
練習とか言いながら、藤崎さんとトイレにいるのでは無いだろうか。と、さっきの変態的思考を再度回す。というか世の中の女子って普通の顔して生きているけど、大体こんなえっちなこと考える時間はある。これは本当に。
だって私が考えてしまうくらいだ。私が特別変態ってことでは無いと思う。
どれもこれも琴音のせいだ。
琴音が私にえっちなことを考えさせるくらいに可愛いのが悪いんだ!
責任転嫁終わり。
今からどうしよう。
こんなんでも割と悩んでる。
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