おまけ・第九部完結記念座談会
前話のラストから引き続き、騎士寮のヤルン自室にて。
ヤルン=ヤ/キーマ=キ/ココ=コ でお送りします。
ちなみに三人はホットチョコレートを飲んでいます。
キ)んじゃ、お疲れー
コ)お疲れ様です
キ)ねぇヤルン
ヤ)あ?
キ)最近、魔導具屋荒らしをしてるって本当?
ヤ)し、してねぇっ!
あっぶねぇな、吹き出すところだったじゃねーか
キ)でもさぁ。王都の魔導具屋という魔導具屋に顔を出して、
何か買い漁ってるって聞いたよ?
ヤ)ぐっ。んな噂、お前はどこから聞きつけてくるんだよ
キ)ウチの先輩から
コ)だいぶ近いですね
ヤ)ってことは、もうかなり出回っていると考えて差し支えなさそうだな。
ちっ、足の速い……。客のプライバシーくらい守れってんだよ
コ)ということは、本当に魔導具屋さんを荒らしてるんですか?
ヤ)だから、荒らしてないっての!
ただ、普通に買い物してるだけだって
2人)そんなにあちこちで?
ヤ)……まぁ別に隠すことでもないから良いか(がさがさ)、ほれ
キ)木箱? わっ、何これ!
コ)水晶がこんなに沢山……!
ヤ)これを買ってたんだよ。最近、無くて困ることが多かったからさ
キ)だからって、この量を一度に?
ヤ)一気に買わないと、数が減ってくると値段を吊り上げられちまうだろ?
そうなる前にと思って、あちこち覗いてたってわけ。どうだ?
キ)どうだ、って。そりゃあ「荒らし」って言われるでしょ……
コ)凄いですね。あの、後で私にも少し譲って頂けませんか?
ヤ)おう
コ)ありがとうございます
キ)ちなみに一本幾らするもの?
……えっ、高ッ!? 良く買えたもんだねぇ
ヤ)別に、金なんて自然と貯まるもんだろ?
コ)ヤルンさんて、節約家だったんですね
キ)ただのケチだと思うけど、痛っ
ヤ)この狭いスペースで避けられると思うなよ。
それより冷めちまうから、さっさと飲もうぜ(ぐびぐび)
キ)ホットチョコレートをお酒みたいあおってる人、初めて見たよ。
にしても意外、ココのことだから、ヤルンにはもっと特別な
チョコを贈るのかと思ったのに
ヤ)!? と、特別って
コ)いえ、ちゃんとご用意してますよ?
それでは、ちょっと取ってきますね!
キ)んじゃ、ついでにもう少し何か飲むかなぁ
(一息入れて)
ヤ)今度は上に生クリームが載ってる……、
旨いけど、甘過ぎじゃねぇか?
キ)ウィンナー・ホットチョコレートだね。味は個人の好みってやつで
コ)では先にキーマさん、どうぞ(片手サイズの箱)
キ)あれ、さっきのがそうだと思ってたよ。ありがとー
コ)それから、こちらはヤルンさんに(両手サイズの箱)
ヤ)お、おう、ありがとな。
って、デカっ。しかもなんかこの箱、妙な気配がしてないか?
開けても大丈夫……?
コ)あっ、あとで、お一人で開けてくださいね!
ヤ)怖っ、照れ隠しには聞こえないんだけど!?
キ)じゃあその件は明日報告して貰うとして
ヤ)放置かよ!
キ)ところでさ、結局イリクのところにはもう一度行ったわけ?
ヤ)あ? 医者が「来い」っつーんだから、行くしかないだろ
キ)面白い再検査だよねぇ。で、どうだった?
コ)まさか、何か異常が?
ヤ)ないない。ただの幻に異常なんてあるわけないだろー?
それよりな、行った時、あいつ、「半分くらい冗談だったのに」
って言いやがってさ
キ)わぁ、勇気あるなぁ
ヤ)腹が立ったから、ちょっと仕返しをだな
コ)仕返し? ってもしかして……
ヤ)違う違う。ココにしたのとは別の仕返し
キ)あ~その仕返しの時の話、聞いたよ。
現場に居合わせられなくて、物凄く残念
ヤ)はぁ。お前はほんと、他に考えることはないのか?
あ、そうだ。前に言ってた「人生の楽しみ」の残り2割って、
結局何なんだ?
キ)あぁ、あれ?
そんなの、「寝ること」と「食べること」に決まってるじゃない
ヤ)俺を見張るのと同列の生きがいが、それ!?
コ)キーマさんは、あまり睡眠を楽しみにされない方が良いのでは……?
キ)えー、普通だよ。それより、話が飛んだね
コ)飛びましたね。「仕返し」って何をされたんですか?
怪我するようなことは駄目ですよ?
ヤ)してな、くもないのか
キ)え? それは幾ら何でも酷いよ
ヤ)そーじゃなくて、事故!
腹が立ったから、魔力チェック中に逆に探ってやろうとしたら、
イリクがビックリし過ぎてひっくり返っただけ!
コ)あらら
ヤ)でもって、手を繋いでたこっちまで引っ張られてさ
コ)それは散々でしたね……
キ)っていうかただの自業自得だよね。全く、何やってるんだか。
そういうのはココとしなよ
ヤ)次、んなこと言ったら入室禁止な!
キ)うわぁ、横暴~
ヤ)お前の方がよっぽど言葉の暴力振るってるっつの!
それより、ココに聞きたかったんだけど
コ)なんですか?
ヤ)前に「本を読んで勉強」してるって言ってたろ?
い、一体、どんな本を読んでるんだ……?
コ)えっ! それは……お、乙女の秘密です!
キ)って返すように本に書いてあったんだね;
ヤ)今後が更に心配だなぁ
コ)あ、あの。私のことより、キーマさんはお仕事の方、どうですか?
キ)え、仕事? そうだなぁ。
ヤルン達以外の魔導師と組むのは初めてだから、そこは新鮮だね
ヤ)んん~? そんなに違うもんか?
キ)うん。どれだけ二人が規格外か、毎回実感する。
ヤルン達といると楽しいけど、普通ってのも結構良いものかも?
ヤ)なんだとー!? お、俺だって別に、いたって普通だし?
キ)空しい嘘は自分を傷つけるだけだから、やめとこうか?
ヤ)うるさいなっ、俺のどこが普通じゃないって言うんだよ!
毎日こつこつ地道に生きてるっつうの!
コ)わ、私も普通のつもりなんですけど、駄目でしょうか?
キ)聞きたい? 一から全部説明しようか、どうする?
ヤ)……やめとく
コ)……やめておきます
キ)よろしい
《終》
◇ココのチョコレートは動いて鳴きます(怖)
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