おまけ・第七部完結記念座談会

 魔術学院・調理場にて。

 ヤルン=ヤ/キーマ=キ/ココ=コ でお送りします。

 ノリしかありません。ご了承の上、お読みください。


 3人)かんぱーい!

 ヤ)今回も色々あったなー

 キ)まぁヤルンが動いて何もないわけがないよねぇ

 ヤ)人を騒動製造機みたいに言うな

 キ)ええ? 似たようなものだよー

 コ)ふふ。ちなみに一番の大事件はどれでした?

 ヤ)……論文書かされたこと?

 コ)えっ、それですか? 

   確かに小さい出来事ではなかったですけど……

 キ)他にもっと大事件があったよね?

 ヤ)いやいや、ほんと大変だったんだって。

   長文書けとか、どんな無茶ぶりだよ

 キ)あれ? いつも書いてるよね、始末し……痛っ!

   暴力はんたーい!

 ヤ)うるせぇ!

 コ)まぁまぁ。お二人ともお茶でも飲んで落ち着いてください、ね?


(一息いれて)


 キ)そうだ。せっかく学校に居るんだし、

   お互いを評価しあってみない?

 ヤ)評価だぁ? また、んな面倒そうなことを

 コ)面白そうですね! ちょっと興味あります

 ヤ)マジか。……いいけどさ

 キ)じゃあ、最初は身体能力かなぁ? 体術とか武器の扱いとか

 コ)そこはやっぱりキーマさんが一番高いと思います

 ヤ)悔しいけどそうだな。

  つうか、そうじゃないと護衛にならないだろ

 キ)二人とも守る必要は全然ないけどねー。

   ヤルンなんか、むしろ本人から周りを守る方が重要な任務かも

 ヤ)うっ。学院では大人しくしてただろ!

 キ)10歳の女の子に「殴るぞ」なんて暴言吐いてたくせに

 ヤ)あ、あれは学院外だからセーフ!

 キ)……。こりゃ、気を付けないとまた始末書だね

 ヤ)マジなトーンで言うのやめろ!

 コ)私は体術はちょっと苦手で……。

   もっと頑張らないと!(聞いてない)

 ヤ)次は学業面か? そこはやっぱりココがぶっちぎりだよな?

 コ)お二人とも、ちゃんとこなされるじゃありませんか

 キ)いやいや、最低限だよ。

   ココみたいに本の虫でも努力の鬼でもないし

 ヤ)学院の図書室や書庫にも入り浸ってただろ?

 コ)それはヤルンさんも同じでしょう?

 ヤ)俺は気になったのしか読まねぇから、冊数の桁が違うって。

   つか、読んだら師匠に報告しなきゃいけないのが面倒なんだよな

 キ)なんだかんだ言って律儀だね。大雑把にじゃ駄目なわけ?

 ヤ)あとでかぶったら嫌だろ?

   知らないフリしても速攻でバレるしな

 コ)それは全部顔に出てしまうからでは……

 キ)にしても手紙でやりとりなんて、通信講座みたいだねぇ

 ヤ)厳密には手紙じゃなくて伝令術だけど、そうだな

 キ)さしずめ「魔導士・上級コース」って感じ?

 ヤ)お手軽でも短期間でもないけどな。って、何の話だっけ?

 コ)学業についてですよ。ヤルンさんは数にお強いですよね?

 キ)あー、金勘定が得意!

 ヤ)ちっとも褒められた気がしない!


 キ)じゃあ次。魔術……は最後に回すとして

 ヤ)あぁ、お前参加出来ないもんな

 コ)なら生活面なんてどうですか?

 キ)態度ってこと?(ちらり)

 ヤ)こっち見んな!

   はん、どーせ始末書の常連ですよ。放っとけ!

 コ)そうではなくて、お掃除とかお料理とか

 ヤ)あーそっちか。それもココの独壇場じゃないか?

 キ)やろうと思えば出来るけど、今の生活じゃする機会もないしねぇ

 コ)料理に関しては、キーマさんには味付けのセンスがあると思いますよ

 ヤ)旅で料理当番だった時、足りない味を見極めるのが上手かったもんな

 キ)ただの直感だけどね。やっぱり食べるなら美味しく食べたいしさ。

   それよりさ、ヤルンて実は裁縫が得意だよね

 ヤ)訓練してたら、どうしても服が破けるんだから仕方ないだろー

 コ)でも最近は魔術で直してしまうので繕う機会もありませんね

 キ)いやー助かるよー

 ヤ)お前は毎回毎回俺のところに持ってきてんじゃねぇ。自分でやれ!

 キ)魔術の方が早くて綺麗だし

 コ)なら、次は私がやりましょうか?

 キ)それはさすがに……ねぇ。


 キ)さて、今度こそ魔術だね。

   これは2人だけの評価になるけど、どう?

 ヤ)うーん、得意分野が全然違うからな

 キ)だったら分野別に分けようか

 ヤ)だな。攻撃・防御の2つでいいか?

 コ)はい

 ヤ)最初は攻撃だな。これは負けないぜー

 キ)今まで本当に沢山のものを破壊してきたもんねー

 ヤ)そんなには壊してない、はず!

 キ)何言ってんだか。

   破壊王としての歴史を本の形で売り出しても良いくらいだよ

 ヤ)アホっ。んな黒歴史、誰が買うんだよ!

 コ)……内容と売り方を工夫すれば、結構売れるかもしれませんね?

 ヤ)ちょっ、ココまで!?

 キ)じゃああとで儲けの配分について相談だねー

 コ)製本って幾らくらいお金がかかるんでしょうか

 ヤ)ぎゃーっ、やめろやめろ、それただの公開処刑だからっ!

 コ)えっと、次は防御ですね。結界なら負けませんよ!

 ヤ)……ココの結界、どんどん硬くなってるよな

 キ)中の音は漏らさずに、外の音だけ拾う結界ってのも凄いよね

 コ)そんなに難しいものじゃありませんよ

 ヤ)俺はあんまり自信ないなー

 キ)結界は魔力の緻密さが大事なんだっけ?

 ヤ)それこそ織物のイメージだな。均一なほど強くなるんだ

 キ)ふぅん。コツとかあったりするの?

 コ)んー……あっ、織物の勉強はしましたよ

 ヤ)マジで!?

 コ)奥が深くて面白いんですよ? あと、編み物も良いと思います。

   一目ひと目編んでいると心が休まりますし

 キ)……ココが勉強していない分野ってまだあるのかな?

 ヤ)想像が付かない

 コ)そんなことはありませんよ。

   世の中にはまだまだ沢山の知識が溢れていますから!(にっこり)

 ヤ)そう聞くと、なんか逆に心配になってきたぞ

 キ)同じく……

 コ)そういえば補助系は良いんですか?

   同じくらいだとは思いますけど

 ヤ)補助は範囲が広すぎるだろ?

   感知を入れられると完全に負けだろうし。

   つか、ココの能力が高過ぎるだけで、俺って普通じゃね?

 キ)あ~、その可能性はなくもない……のかな

 ヤ)師匠が決める合格ラインが高過ぎるんだって

 キ)それは否定し辛いところだね

 コ)じゃあ今回は引き分けにしておいて、次回に持ち越しですね?

 ヤ)あれ? 第二回大会の開催が早くも決定してる?


(一息入れて)


 キ)それで、ヤルン達はこれからどうするのさ?

 ヤ)決められた任期ももうすぐ終わりだし、当然スウェルに帰るぞ?

 コ)いつまでもこちらに居るわけにはいきませんよね。

   あぁ、早く帰って訓練がしたいです……!

 キ)もしかして禁断症状が出始めてる?

 ヤ)名付けて「訓練欠乏症」だな

 キ)今この場で始めないでよ? まぁ、学院に居続けたらいつの間にか

   こっそり所属を変えられちゃいそうだしね、あの学院長に

 ヤ)全然冗談に聞こえないのが怖い! 騎士になりたいのに

   教師にされちまうとか、悪夢以外の何ものでもないぜ

 キ)回り道をし続けてるヤルンが言うと説得力があるよねー

 コ)そんなの駄目です! ……安心して下さい。

   私が絶対、ヤルンさんをスウェルへ連れて帰りますから!

 キ)燃えてる……。いやぁ、愛されてるねぇ(ちらちら)

 ヤ)馬鹿かっ、どこをどう見てもココが愛してるのは訓練の方だろ!!

 キ)あはははは。ヤルンがいないと訓練が出来ないからね。

   いっそ「俺と一生、一緒に訓練しないか?」って告白してみたら?

 ヤ)何の告白だ、ドM宣言か!? したいならお前が行け。

   つか、もしそれで万が一OK貰っても虚し過ぎる……っ!

 キ)(爆笑中)あーくるしい、もーだめ、限界

 コ)? お二人とも、どうかしました?

 ヤ)何でもない! こんな会、もう解散だ解散っ! 撤収!!

 キ)ひー、死ぬ……笑い死ぬ

 コ)??????


《終》


 ◇完全に悪ノリしてますね。

 ヤルンがずっと叫んでいて声が枯れてそうです。

 とにかく、これで第七部もこれにて本当におしまいです。

 お読みくださってありがとうございました。

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