おまけ・第三部完結記念座談会

 ユニラテラ王城・食堂にて。

 ヤルン=ヤ/キーマ=キ/ココ=コ でお送りします。

 ノリしかありません。ご了承の上、お読みください。


 ヤ)お疲れー

 コ)お疲れ様です

 キ)お疲れー

 3人)かんぱーい!(注:お茶)

 ヤ)って、なんで食堂?

 キ)食べ物が手に入るからだよ?

 コ)周りがちょっと騒がしいですけどね

 キ)大丈夫! どうせヤルンに近寄ってくる人はいないから、安心して!

 ヤ)さらっと笑顔で酷いこと言うな! 事実だけどさ……ちぇー

 コ)まぁまぁ。せっかくのお茶会ですし、楽しみましょう?

 キ)そうそう。こうしてノンビリ出来る、貴重な時間が出来たわけだしさ

 ヤ)……なんだよ?

 キ)気になってたことでも聞きあおうか

 コ)あ、それ良いですね

 ヤ)「気になってたこと」? そんなのあるかぁ?

 キ)ヤルンは思い付いたらすぐに口に出すから、ないだろうけどね

 ヤ)人を考えナシみたいに……。

   その金髪、今すぐ銀髪にしてやろうか、あぁ?

 コ)まぁまぁ。落ち着きましょう、ね?


 ヤ)……それで、改まって何を聞きたいんだよ

 キ)じゃあ早速質問! 前にオルティリト師もやってたけど、

   ヤルンも指を鳴らして術を使ってたよね。(※第三部・第四話)

   あれってどうやってんの?

 ヤ)あぁ、あれか? あんなのただのコケオドシだぜ?

 コ)でも、演出と、別方向に気を逸らせる効果が狙えますよね

 キ)んー、具体的には?

   まず呪文を唱えておいて、音をスイッチとして使うイメージでOK?

 ヤ)そうそう、合わせて発動させる感じだな

 コ)うぅん、私にはちょっと難しそうです

 ヤ)ココは出来るだろ。術を組むの、俺より得意じゃんか

 コ)状況に合わせてとなると、前後のやり取りも大事ですから。

   やはりセンスがないと……

 キ)センスはともかく、ヤルンは喋りがうまいからね

 ヤ)引っかかる言い方だな

 コ)やってみたいとは思うんです。

   静かな空間で派手に術を発動させられれば、相手を驚かせられますし

 キ)要するにビビらせ用ってことでしょ?

   みんな「やれない」じゃなくて、「やらない」んだよ。

   ほんと、ヤルン向きの技だね。さすが師弟

 ヤ)うるせぇな。さっきから全然褒めてないだろ。

   今度、起き抜けに一発お見舞いすんぞ

 キ)どうせなら両手で交互にやったら効果も倍増とか?

 ヤ)どこの大道芸人だ!

 コ)そうしたら本職のマジシャンもびっくりのショーが出来そうですね!

 ヤ)ココも話を膨らませなくて良いからっ。真剣に検討するなって!

   ……はぁ、疲れた。お茶のおかわり貰ってくる

 キ)いてらー


(数分後)


 ヤ)そういや、たまに男女別で訓練する時あるだろ?

 コ)はい。時々ですけど……どうかしました?

 ヤ)「どうか」じゃねぇよ~。

   こっちは「戦場で女子どもに出くわしたら」なんて、恐ろしい話を

   聞かされてんだぞ

 コ)出くわしたら、どうしろと?

 キ)戦場で遭遇する相手には、性別も年齢も関係ないからね。

   自分が死にたくなかったら殺すか逃げろ、が常識だよね

 コ)このお仕事をしている以上は仕方のないお話ですけど、

   辛いですよね……。私に出来るでしょうか……

 ヤ)あとは、どっちも嫌なら眠らせろ、だな

 キ)それは魔導士だからだよ。

   剣士は背中を見せたら負けだし、お相手するしかないだろうねぇ

 ヤ)いざって時のために、眠り薬でも持っとけばいいんじゃね?

 キ)戦場に余計な荷物は持っていけないって。

   前衛は身軽でいることも大事なんだから

 コ)だからこそ、後方支援役を務める私達と組むわけですもんね

 ヤ)因果な商売だよな。でさ、ココ達はその間、何やってんの?

 コ)えっ、えぇっと……

 キ)ん、そこ固まるところ?

 ヤ)怪しいなぁ。あ、分かったぞ。

   もしかして、男をやっつける方法とか習ってるんじゃないのか?

 コ)そ、そうですね

 ヤ)ってアタリかよ!

 キ)さらっとえげつないねぇ

 ヤ)ぐ、具体的には? ……いや、やっぱりいい。聞きたくない

 キ)んー、まさかとは思うけど、色仕掛けの仕方とか教わったり?

 ヤ)い、色仕掛けぇ!?

 キ)兵士は圧倒的に男率が高いからね。

   女性であることを武器にする方法を学ばされるのかと

 ヤ)ええっ、マジかよ……!

 コ)ちっ、違います! キーマさん、何を言い出すんですか!

 キ)あはは、冗談だって。そんな真っ赤になって否定しなくても

 コ)ひ、酷いです……!

 キ)ごめんごめん。悪かったって

 コ)ヤルンさんも。そんなこと、あるわけないじゃないですか。

   真に受けないでください

 ヤ)そ、そうだよなっ。……あれ、じゃあ結局は何をしてたんだ?

 コ)もう教えません!

 ヤ・キ)ええー

 コ)ふん、です。今度は私がおかわりを頂きに行ってきます

 キ)あらら、行っちゃった

 ヤ)お前のせいだろうが。

   うおぉ、教えて貰えないと余計に気になる……!


(数分後)


 ヤ)少しは落ち着いたか?

 コ)は、はい。取り乱してすみませんでした

 ヤ)キーマが200%悪いんだから良いんだよ

 キ)えぇ、完全に悪者扱い?

 ヤ)異論があるなら唱えてみろよ。命が惜しくないならな

 キ)暴力反対~

 ヤ)馬鹿は放置しとくとして、そろそろ部屋に戻らないとな

 コ)本当、もうそんな時間なんですね

 キ)ヤルンは夜の特訓があるしねぇ

 ヤ)あのじいさん、ここでも結局途中から復活させたからな

  「来ないと、こちらから迎えにいくぞ」とか怖いこと言ってたしよ

 コ)何か教わったら是非私にも教えてくださいね!

 ヤ)お、おう

 キ)ココのまなざしがキラキラしてる……

   そろそろっていえば、この城の訓練期間もあと僅かだね

 コ)そうですね。

   仲良くなれた方もいらっしゃいますし、お別れは少し寂しいです

 ヤ)だな。期間終了後は俺達どうなるんだっけ? もう説明聞いたか?

 キ)まだだよ。今のところ、終わるって情報だけだね

 ヤ)どーせまた師匠が面倒くさがって、話すの渋ってんだろうな……

 キ)なんでもいいよ。ヤルンに付いていけば、退屈しないでしょ

 ヤ)お前は腰巾着か? コバンザメか? 見世物じゃねぇっつってんだろ

 コ)ヤルンさんは師匠せんせいと行動を共にされるんですよね?

 ヤ)え……。そうだけど、なんで……?

 コ)だってキーマさんが――

 ヤ)ちょ、キーマっ。お前ココに何喋ったんだよ。

   まさか、あのことを!?

 キ)あはははは(あとずさり)

 コ)えっ、違うんですか?

   師匠せんせいがヤルンさんを王城に預けていこうとしたのを、

  「置いていかないで」と泣きながら懇願したとお聞きしましたけど……

 ヤ)はぁぁあぁあ!? 1000%嘘乙!

   キーマこの野郎、っていない! あいつ逃げやがったな!?

 コ)先程、入口に方へ駆けていかれましたよ

 ヤ)ココ、俺は大事な用事が出来た。悪いが片付けを頼みたい

 コ)良いですよ(にっこり)

 ヤ)さんきゅー!

   後でちゃんと説明するから、キーマが言ったタワ言は

   忘れてくれよな、じゃっ!(猛ダッシュ)

 コ)いってらっしゃーい


《終》


◇お付き合いありがとうございます。

 「人物紹介&用語集」を挟み、第4部に続きます。

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