花と、僕と。

  夜に沈んだ街のすみで、月の影を探した。

  この花が、きれいに咲ける場所。

  陽の光が届かない、静かな場所で、

  花は、きれいに咲いた。だけども僕は、

  悲しくなった。

  

  光がほしい。花が枯れない光。

  薄暗い中で目を瞑ればもう、何も見えない。

  涙さえも。


  カラン。


  「これならどうだい?」


  オレンジ色の、ぼんやりとし光。

  声が聞こえた方には、ランプを手にした少年。

  なんて顔をしているんだい、と、おかしそうに笑う。

  僕は、きっとつられて笑った。


  弱く、にじんだ灯りに照らされ、

  花は前より、美しく咲いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る