第2話

「・・・葵君は?この先どうするの?」

 夢を見ているのか、僕の少し先に二つの人影が見える。学校の教室だろうか、二人は窓から差し込む柔らかな光に照らされている。片方はおそらく僕だ。もう一人は女の子のようだが、顔は見えない。

「さあね、一応進学希望だよ。さすがに高校出てないのは、厳しい気がするから」

 中学時代の自分か。一応、とか言って。就職なんてする気はさらさらなかったくせに。相変わらず見栄っ張りというか、何というか。昔から、こういうところはあったな。笑みを浮かべ話す中学生の自分を見ていたら、少し胸の辺りがぞわっとする。

「そっかぁ。葵君は頭もいいし、きっと希望の学校に入れるね」

 女の子は、透き通るような綺麗な声だ。ああ、思い出した。彼女は確か小学校からの同級生で、よく一緒に勉強していた子だ。名前は思い出せないけれど、顔がぼんやりと浮かぶ。

 しばらく談笑する二人を見ていたが、再び、落ち着かない嫌な気持ちが現れた。この気持ちは今までにも何度となく味わってきたが、何も夢の中まで追ってこなくてもよかったんじゃないのか。段々と強くなるその嫌な気持ちが、僕を谷底へ落としたかのように、一気に目の前が暗くなった。

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