*** 二〇二〇年 九月二十一日 月曜日

 下校してゆく生徒をちらほらと見かける中、僕は逆行するように手ぶらのまま校門をくぐる。流石に私服で敷地内に入ったら後々面倒臭くなると思ったので制服を着用した。少しばかりの坂道を上り歩くと目的の校舎であるA棟が視界に入る。普段であれば昇降口にある自分のロッカーから上履きを取り出して履き替えてから教室に向かうのだが、そんなことは忘れて直接A棟に入って角を曲がった。

 頭の中で常にあの可能性について思考を張り巡らせていたから日常的行動すらも無意識に忘れてしまっていた。この三日間もそうだった。朝ご飯や夕飯を食べている時も、風呂に入っている時間も、寝床に入る時でさえ考えていた。いや、どうしても頭の中に浮かんでくると表現した方が正しいかもしれない。

 数分の間、廊下を直進していると例の部屋の前に到着する。軽く呼吸をして息を整える。彼女と会話することがずいぶん久しぶりで何だか緊張してしまっていた。彼女とは本に関する話しかしない関係で互いのプライベートのことで一切会話したことはない。本以外のことで彼女に声を掛けること自体が初めてだったし、こんなにも面倒で複雑な僕の頼みを聞いてくれるか分からなかった。むしろ協力に応じてくれる可能性の方が低いかもしれない。

 いつまでも部屋の前で突っ立っているわけにもいかなかったので中へと入ることにした。廊下と部屋の境界線を跨ぐとこれまた心地よい匂いが鼻を掠めた。上質紙や書籍用紙、他にも様々な材質の紙が入り混じった匂い。ここ一ヶ月、小説を買いに書店や図書館に訪れていなかったのでずいぶんと懐かしく感じた。改めてやはり僕は本が好きなのだということを認識でき、おかげにいくらか緊張が和らいで身体から余分な力が抜けた気がした。

 図書カウンターと読書机の間を抜けるように真っ直ぐ歩いて行く。左右に設置されている本棚をいくらか通り過ぎると、例の人物が椅子に腰を掛けながら静かに読書しているのが見えた。彼女の側へ向かい「一ノ瀬さん、久しぶり」と冷静を装って声を掛けた。

 黒縁の眼鏡を掛けた一ノ瀬さんは僕を一瞥して短く「久しぶり」とだけ答えると、すぐに目の前の小説へと視線を戻した。ここまでは今までと変わらなかった。きっと一ノ瀬さんは僕が長期間学校を休んでいたことに興味はない。僕たちは友人ですらないのだから協力を頼んでも断られる可能性の方がずっと高いだろう。だが他の人物ではいけないのだ。他に頼めるような人物が思い付かず、消去法で一ノ瀬さんを選んだわけではない。彼女でなければならなかった。

 いつもと違って僕は彼女の目の前の椅子に座る。一ノ瀬さんの表情は何も変わらなかった。

「一ノ瀬さん、実は今日君に頼みがあって久しぶりに学校に来た」

「……頼み?」小説のページを捲る彼女の手が止まり、少し驚いた表情でゆっくり僕を見る。僕は返答として頷く。

 僕たちはルールを決めたわけでもなく本以外の会話をしないことにしていた。互いのプライベートには全く関与せず話も一切しない。それが僕たちの間の暗黙の了解だった。しかし僕が自分の意思でこのルールを破ったのだから、彼女は驚きを隠せなかったのだろう。

「約一ヶ月前、火事になった家からある女子学生の遺体が発見された事件を一ノ瀬さんは知ってるか?」

「テレビで見たから知ってるよ」彼女は努めて冷静に答えているようだった。

「その亡くなった人の名前は有栖川琴葉……昔の名前は相川琴葉、僕たちと同じ相川寮出身だ」

 アリスの本名を口にした途端、彼女は目をぎゅっと目を閉じて肩を震わせてわかりやすく動揺した。

 一ノ瀬霞、昔は相川霞という名前で僕と同じく相川寮出身だった。施設にいた間に僕と彼女に一切交流はなかったが、高校で初めて言葉を交わした。どうやら彼女も読書好きになったようで、互いに言葉は交わさないがなんとなく読書仲間のような関係になったのだった。

 一ノ瀬さんを協力者に選んだ大きな理由はこれだった。昔のアリスと一ノ瀬さんは特段仲が良かった訳でもないから僕の協力に応じる必要もない。それでも血の繋がっていない家族よりも同じ施設出身の人の方が僕にとっては信頼に値する人物だと思えた。

「一ノ瀬さん」と彼女の名前を呼ぶ。

「彼女は亡くなっているとニュースでは言われているが、僕が推理した結果、彼女はまだ生きているかもしれない。僕が今信頼できるのは君だけだ。どうにか話だけでも聞いて欲しい。頼む」

 そう言葉を紡ぎながら僕は立ち上がって頭を下げる。彼女が今どんな表情をしているかは分からなかった。

 数分経過すると少し落ち着いたのか「わかった」と彼女の声が聞こえたので顔を上げる。

「……君に協力する。でも、なんで生きてるって思うようになったのか全て教えて」

「ありがとう。もちろん全部話す」と僕は感謝を述べる。

 なぜ彼女が協力してくれるのか理由は不明だったが、そんなことは無視して僕は現在に至るまでの経緯を全て話し始めた。一ヶ月ほど前に変な女子学生と出会ったこと、アリスと名乗ったこと、火災にあったあの屋敷から白骨遺体が見つかったこと、アリスはあの事件で決着をつけようとしていたこと、アリスが相川寮出身だったこと、そしてアリスが生きていると仮定すれば全て辻褄が合うこと。僕は包み隠さず全てを話した。一ノ瀬さんに説明している最中、時々苦虫を噛み潰したような表情をしていた。全て話し終えると彼女は「なるほど……」と呟いた。

「そう、だったんだ。そんなことが……。つまり君は、もし琴葉ちゃんが生きてるなら、探し出してもう一度会いたいってことだよね?」

「あぁ」と僕は肯定する。

「……わかった、君に協力するよ」

 その言葉を聞いて僕は安堵した。彼女に感謝の言葉を述べながらもう一度頭を下げた。早速本題に入ろうとした瞬間、一ノ瀬さんは独り言の様にこう言葉を付け加えた。

「琴葉ちゃんとは仲が良かったから私も知りたい。だから君に協力する」

 仲が良かったという部分に僕は引っ掛かりを覚えた。

「え……、一ノ瀬さんはアリスと仲が良かったのか? 僕以外と親しくしている人はいなかった気がするけど……」

「何言ってるの? 琴葉ちゃんはずっと私と一緒にいたよ。お互い他に友達なんていなかったから」

「いや、そんなはずは……。昔のアリスが君と話をしているところなんて……」

 一ノ瀬さんの記憶と僕の記憶があまりにも乖離しており、頭が混同した。彼女は昔から記憶力が僕よりも良かったし、ニュースで現在のアリスの顔を見ているはずだから人違いっていうこともないはずだ。間違っているとすれば僕の方だった。だがいくら記憶を辿っても一ノ瀬さんとアリスが仲良くしていた場面などは何一つ思い出せなかった。アリスが残した手紙には僕が唯一の友達だと書いていたのだからあの少女がアリスで間違いないはずだ。

 逆に一ノ瀬さんがあの施設でどう過ごしていたかを思い出そうとする。一ノ瀬さんも僕たちと同じように別の子供としか一緒に過ごしていなかった気がする。しかし、その少女の名前や顔を僕は思い出せなかった。

「少し確認したい。アリス、いや有栖川琴葉はあの養護施設にいた頃、他の児童とは違ってずっと本を読んでいるような子だったか?」

「いや、あの子は本が苦手だったはずだよ」

 僕はもしかして重大な勘違いをしているのではないだろうか。人生で唯一の親友であるあの少女の名前を僕は覚えていないし、アリスが残した手紙に事実が書かれているとは限らない。それに一瀬さんの記憶を照らし合わせるとおのずと答えが出てくる。しかし、僕はそれ以上の思考を止めていた。

「もしかして……」と一ノ瀬さんが口を開く。もう何が真実か分からなかった。

「もしかして……君は勘違いしてるの?」

 僕はもう諦めて無言でいた。目を開いたまま固まっていた。

「あの頃、君と一緒にいた女の子の名前は相川真夜まよ、今は確か川北かわきた真夜まよだったと思う。琴葉ちゃん、つまり君の言うアリスとは別人だよ」

 彼女は僕に真実を突きつけてから、続けてある昔話を話し始めた。


「ねぇ、どうだった? 上手だった??」

「うん、上手だったよ。やっぱり琴葉ちゃんにはお姫様役がぴったりだよ」

 私がそうやって褒めるとは「えへへっ」と彼女は少し恥ずかしそうに笑った。一通り喜び終えるとまた最初からお姫様の台詞を呟き始める。中央にそびえ立つ大きな木の下で私は三角座りをしてその様子を眺めることにした。先程の彼女の笑顔が脳裏に浮かぶ。目を細めて顔全体をくしゃっとして笑う彼女の笑顔が私は何よりも大好きだった。あんなにも純粋無垢で屈託のない笑顔をするような女の子がいるとは思わなかった。

 他人と関わることが苦手だった私はこの施設に預けられることになった時から不安に感じていた。人と仲良くすることが苦手なくせに一人になることがとても怖かった。だけど初めてここへ来た日、彼女と出会ってそんな不安は全て消え去った。琴葉ちゃんも私と同じ日に施設へ来たようで、それまで互いに独りぼっちだった私たちはすぐに仲良くなった。照れ臭くて直接言ったことはないけど、私は彼女の裏表のない笑顔に救われた。誰かと仲良くなりたいと思ったのはこれが初めてだった。

 そんなことを思い出していると、いつの間にか彼女の動きが止まっていることに気付いた。どうやらどこか見ているようで、視線の先には例の男の子と異質なほど綺麗な女の子が隣り合って本を読んでいた。琴葉ちゃんは心ここに在らずといった感じで見つめている。

「ねぇ、あいつのどこがいいの? まともに喋ったことなんてないんでしょ」

 嫉妬心から少し嫌な言い方をしてしまう。何だかあの男の子に琴葉ちゃんを取られた気がして勝手にムカついていた。だけど彼女はそんな私の気持ちに気づかず答える。

「……そうだけど。私の演技上手かったって褒めてくれて嬉しかったんだもん!」

「それだけで……」と私は呆れたと言わんばかり溜息を吐きながら言った。

 彼女に戻していた視線を再度あの男の子へ向ける。黒く染まった前髪が少しだけ目にかかっていて、楽しそうにして本に視線を落としている。彼が隣り合う少女以外と一緒にいるところを私は見たことがなかった。周囲の子達は何だか気味が悪いと言って彼には決して近づこうとしない。その原因となっているのが隣にいる少女だった。肩にかかるぐらいの長さで艶のある黒髪、白くきめ細やかな肌、吸い込まれそうになる双眸。何か異質なオーラを纏っていたその女の子は俗に言う絶世の美少女だった。彼女は私たち人間というものから遠くかけ離れているような存在だった。ゆえに私たちにとって彼女は畏怖すべき対象で、あの子がここに来てからというもの誰一人声をかけたことはなかった。

 その女の子は彼と隣り合いながら同じように読書に励んでいる。彼女の方がページを捲るスピードが早いようだった。そんな存在である彼女と仲良くしている彼のことを琴葉ちゃんは好きになってしまったらしい。ただでさえ誰かを好きになるだけでも気に食わないのにそれがあんな奴だなんて余計に腹が立った。

 それに彼のことを気になり始めた理由も単純なものだった。ちょうど一週間前、私が風邪で寝込んでいた時だった。庭の端で琴葉ちゃんが一人で演劇の練習をしていると、足元に所々破れた本が落ちてきたようでその本の持ち主が彼だった。その本を拾って駆け寄ってきた彼に渡すと「ありがとう」と言ってすぐに立ち去ろうとした。しかし、途中で立ち止まって彼が「演技上手いね。頑張って」と声を掛けてくれたようだった。琴葉ちゃんはその言葉が忘れられず、彼を見かけると目で追うようになってしまい、いつの間にか好きになっていたと言っていた。

「告白するの?」私は尋ねる。

「まさか! 告白なんてしないよ……。私なんかじゃ釣り合わないし」

「そっか」と内心喜びなから短く返事をする。だが釣り合わないことはないと心の中で否定した。あの男の子の容姿が特段優れているわけでもないし、性格も良さそうには見えない。それに隣の美少女と仲良さそうにしているからたとえ今は無理でも、琴葉ちゃんは成長すればもっと可愛くなるはずだから可能性がないことはないと思った。あまり心の底から素直に応援はできないが。

「でも……」と琴葉ちゃんが言葉を続ける。

「でもね。いつか彼と釣り合うような女の子になるんだ。可愛いメイクをして、綺麗なお洋服を着て、お料理とかお掃除とかいっぱい勉強するの。もちろん、これから演劇も頑張るよ! だからそれまで告白はしない。目一杯可愛くなってから告白するんだ!」

 楽しそうに将来を語る琴葉ちゃんの目はキラキラと今までと段違いに輝いて見えた。それを見た瞬間、彼と琴葉ちゃんが恋仲になっても素直に祝福しなければならないと思った。あくまでも彼女の人生なのだから私のこの小さな嫉妬で邪魔をするわけにはいかない。私が望むのは彼女が幸福でいることなのだから。今すぐにその恋を応援することはできないけど、彼女の思い描く人生を素直に祝福できるように、ゆっくりと認めていこうと私は心に誓った。


 昔話を話し終えた一ノ瀬さんは深く息を吐いた。

「これで話は終わり。この話を聞いた上で君は琴葉ちゃんを探したいと思ってる?」

 頭の中を整理することで精一杯だった僕はその答えに返事をすることができなかった。それもそのはずだ。アリスと出会った当初は過去のあの少女とは別人だと思い込むことに必死で、事件の全貌を知ってからは同一人物であることを知って激しく動揺した。その次は結局アリスとあの少女が別人だって言われて、上手く飲み込めるわけがないだろう。頭の中も心の中も、何もかも全てがぐちゃぐちゃに散らかされた感覚だった。脳内は一ノ瀬さんが語る過去を整理するので精一杯で、僕自身がどんな感情を持っていてどんなふうにその事実について感じているのか自分でも全くもって分からなかった。

 アリスが残した手紙には『一緒に本を読んでくれる唯一の友達だったのに』という一文が書かれていた。僕はその文章を読んだからこそ、アリスが過去の親友と同一人物であり、相川寮出身であると思い込んだ。

 アリスは自身の過去や本当の自分を知られたくなかったのだろうか。嫌われまいと本当の姿を偽ってまで僕と一緒に居ようとしたのだろうか。

 アリスがどんな人間だろうと彼女に会いたいと今でも願っている。でもその願いはもしかすると偽りで、あの少女と同一人物だと勘違いしていたからそう錯覚していただけなのかもしれないし、アリスが別人だと知っていたら僕は助けようと考えなかったかもしれない。

 しかし、とも思う。アリスがあの少女と同じ人だろうがそうでなかろうが関係なくて、一ヶ月間という彼女と過ごした確かな時間が大切なのだ。だからこそ僕は彼女と会って色んな話を聞きたい、と思っているはずだ。だけどそう言い切れる自信も僕はなかった。それに僕は焦っているだけで、衝動的にどうでもいいと結論付けているだけなのかもしれない。

 僕の本心を僕自身が判別できないでいた。どの想いが正しくて、どの感情が間違っているのだろうか。

 ふと原点を思い返す。

 僕はなぜ、彼女に会いたいと願うようになったのだろう。アリスが生きているんじゃないかと事件を調べて思ったからだ。

 じゃあなぜ、僕はあの事件を調べていたのか。たとえ知ることで傷ついたとしても、アリスの本当の姿を知りたかったからだ。

 なぜ僕は本当のアリスを知りたかったのか。アリスが生きていたという事実が次第に忘れ去られることに憤りを感じ、僕の知るアリスと乖離していたと思ったからだ。

 僕の原点はあの少女と同一人物かどうかなんて関係なく、アリスの存在が大事だということだ。迷う必要も正しいかどうかなんて全くもって関係なかった。僕の原動力はアリスの存在だ。そもそもこんなにも面倒で複雑なことは考える必要がなかった。それにアリスがあの少女かもしれないと疑ったのはアリスのご両親に会った時で、その時すでにもうあの事件について調べようと考えていたのだから関係ない。

 僕はアリスに会いたい、それだけで理由は十分だろう。

 一ノ瀬さんと目を合わせるために顔を上げる。互いの視線が交錯した途端、彼女の瞳の奥に不安定に揺れ動く感情が見えた気がした。よくよく彼女の様子を観察すると、自分自身を抱き締めるかのように肩や腕のあたりをさすっていたり、わずかに呼吸が不規則なリズムに変わっていたりした。それを見てしまった僕はできる限り優しい口調で僕の本心を吐き出した。

「正直に言うとまだ分からない。もしかすると、あの女の子がアリスだと勘違いしていたから無意識にこの事件について調べていたのかもしれない。逆にそんなことは関係なかったのかもしれない。今すぐに結論を出すには時間が短すぎる」

 当たり前のことだった。彼女も僕と同じように動揺して悲しかったのだ。昔の大事な友人が若くして亡くなったとなれば、心の中の何かがごっそりと消え去る。彼女はとんでもない喪失感に襲われてしまっただろう。だけど、その子が生きている可能性を知った。

 一ノ瀬さんは自分一人ででもアリスを探そうと決心しているのかもしれない。だが僕が一度考えたように一人での調査にはやがて限界がやってくるだろうし、そもそも効率が悪くなってしまう。彼女からすれば協力者が欲しいが、もし僕がアリス自身ではなく過去の少女の面影を追っているのであれば、僕という人間を信頼できないだろう。そのために『それでも探したいのか』と尋ねたのだ。

「ただ……」と僕は呟く。

「僕はアリス、いや有栖川琴葉の本心を知りたいと思ってる。一緒に夏を過ごしてくれた有栖川琴葉に、僕は会いたい。青く幻想的な水族館に行ったり、僕のお気に入りの図書館に連れて行ったり、高架下で隣り合って本を読んだり。笑顔が似合う彼女に僕は会いたい。彼女の本当の笑顔を見たい。どんな過去があったとしてもそんなの関係ない。だから、これだけは本心だとはっきりと言えるよ」

 心が揺れる。何度も息を吸っては吐く。きっと声は震えていたに違いない。

「だって、僕は、今の有栖川琴葉のことが……好きだから」

 少しだけ僕たちの間に沈黙が流れた。一ノ瀬さんが小声で「……そっか、だからあそこに」と独り言を話していたが僕は特に何も聞かなかった。彼女は一度顔を下に向けてからこちらを見る。

「……わかった。私たち二人で絶対に琴葉ちゃんを探し出そう。これからよろしく」と彼女は言って手を前に出す。

 ほんの一瞬意味が分からなかったが、すぐに理解すると「あぁ、よろしく」と一ノ瀬さんと握手を交わした。

 こうして、僕たちの大事な人であるアリス、いや琴葉を探す計画が始まった。

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