*** 二〇二〇年 八月十一日 火曜日
今日のアリスは珍しく遅刻したのだが、どこか様子がおかしかった。言葉の端々に表れてしまっているはずの覇気がどうしても感じられなかったのだ。バッティングセンターでがむしゃらに球を打とうとした時も、さほど大きくないローラースケート場で転びそうになった時も、慣れない手つきでバスケットボールをカゴに向かって放り投げていた時も、普段のアリスとはほんの少しだけ異なっていた。
意識から何か追い出そうとしながら必死に奥底に隠そうとしているようで、ちぐはぐな感情に対して静かに対処しようとしている気がした。だがどんなふう彼女に対して声を掛ければいいのか分からなかったし、僕の勘違いによるものかもしれなかったので、このことを口にすることはなかった。
この日、二週間ぐらい会うことはできないとアリスは言っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます