予期せぬ来訪者が来た

その翌日の日曜日、俺は気ダルそうな感じで起き、服を着替えリビングに向かう前に二人部屋を見るとこれから持っていくBBAや父さんの私物が山積みに置かれていた。




面倒だが俺はこれからこの荷物をトラックに入れ、ついでに夏輝の私物をこの家に入れるための荷物運びの手伝いをやらされるのだ。

まぁわざわざ引っ越し先の爺ちゃんの家に行ってわざわざ荷物運びすることはない。



正確にはBBAにじいちゃんの敷地に入るなと忠告されたから向こうで手伝うことはないのはいいが、問題は夏輝の私物を運ぶのが憂鬱だ。

あいつの部屋は今現在空いている姉貴の部屋を使っているが、卒業まで居続けるものだから家からの私物を完全にこっちに移すそうだ。しかもBBAが手配をしたトラックでだ。



そんなもの今日一気に持ってくるんじゃなくて学校帰りがてらちょこちょこ家に取りに行ってこっちに置けばいいのに、恐らく俺と協力することで信頼関係を築いてやるとか考えているだろうが、そんなのありがた迷惑な話だ。



今夏輝はというとこの家にはいない・・・・・・正確にはすでに起きていてBBAと一緒に家に向かいトラックに荷物を運んでいるそうだ。



俺はリビングに向かい用意してくれた朝食である食パンと牛乳を口に入れ、テレビを見ながら夏輝がここに来るのを待っている。

本当に奇妙な話だ。なんで俺みたいな廃人なんかを気に入ったのか。

認めたくないがあいつはそこそこ美人で誰が見ても認めるくらいの陽キャだ。



俺のようなクソみたいな人間と関わらなければ間違いなくもっといい高校生ライフを送ってたはずだ。



「・・・・・・・・・・・・・・青春部か」




ピンポーン!!!!

やれやれやっと来たか・・・・・・

来る相手が分かってるので俺は玄関カメラを確認せずに扉を開けた。





「ちっ・・・・・・おい夏輝、鍵があんなら勝手にはい・・・・・・」

「ども・・・・・・・」

玄関を開けると見慣れない白髪の女性が会釈をしていた。

誰だ・・・・・・・

こんな人初めて見る。見た感じ身体が細く透き通るような白い肌に清楚な感じがし、おまけに言い方が生々しいけど人妻のような色気をしていた。

BB・・・・・母さんの知り合いか?いや、知り合いならすでに話を聞いてるはずだ・・・・・

まさかデリバリー関係の人か?

確かにここは高級マンションで意外と入居者いるからよく部屋を間違えて伺うのもまれにある。

とはいえこんな真昼間で大人のデリバリー頼むか普通?まぁそれは人によるだろう。

俺はご近所付き合いはしない方だがこの階のお宅はなんとなく把握してから敵等に追っ払うか。




「悪いな奥さん。部屋間違えてるぞ。一体どこのお宅を行こうとしてんだ。できる限り教えてやる」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あのなにを言ってるんですか」

「なにをって、ここ東雲ってお宅なんだけどアンタデリバリーの人だよね」

「その東雲さんに用があるんです」




東雲さんに用?どういうことだ・・・・・・

東雲ってのは珍しい名字だ。第一うちのマンションに同じ東雲って表札あったか?





「あのなにか勘違いしてるようでけど、貴方東雲の明日火さんですよね・・・・・」

「そ、そうだけど」

「私は伊地弥生いじやよいって言います。これでも夏輝ちゃんと同じクラスメイトであり、同じ部活のメンバーです。今日は夏輝ちゃんの頼みで手伝いに来ましたよろしくお願いします」

そう胸に手を置き自己紹介をする。なんだと・・・・・・・・夏輝と同級生!?

この人妻みたいな見た目が!?にわかに信じられん。




「あの、立ち話もなんだしそろそろ家に入れてもいいですか?」

「あ、ああ・・・・・・・・」

彼女に言われ仕方なく入れることにし、リビングに連れていく。

すると真っ先に窓際の方に向かい声を上げた。




「はぇぇ、すごい絶景ですね。町全体が見えていい景色です。アレ、向こうに見えるのは東京タワーじゃないですか!?賃貸いくらですか」

見た目が人ず・・・・・・大人のような見た目とは裏腹にまるで子供のようにはしゃいでいた。

そりゃそうだ。このマンションは都会のど真ん中に立ってて景色を一望できるくらい高級タワマンだ。初めてここに訪れる一般人はそういうリアクションとるだろうな。





俺も小2くらいにここに移り住んでて、この人と同じリアクションを取ってたな。

友達は・・・・・・・・今まで片手の半分くらいしか連れてきてないないな。




そういや夏輝も初めてここに来たときは同じリアクション取ってたんだろうか・・・・・・まぁどうでもいいことだけどな。





あとなぜ伊治という女がこの高級マンションの俺の家までいとも簡単にたどり着いたのかというと、伊治は夏輝の友人で勿論夏輝が俺の家で居候をしてることもご存じで力になりたいと電話をしたようらしく、しょうがないから手伝うこととなり、俺の家の鍵を初対面のこの女に渡したそうだ。

それで後は簡単。部屋の場所を教え、この鍵のIDを使いなんなくマンションに入り今に至るのだ。



引っ越しの手伝いだけでもうっとしいのに余計なのまで増えてマジでウザいな。

とりあえず適当に話をするか。






「伊治さんだっけ?とりあえず夏輝がくるまでにじっとしといてよ」

「弥生でいいです。夏輝ちゃんは下の名前で呼んでたから同じようにしてください」

「や・・・・・・・・・・弥生さん」

「なんでさん付けするんですか。さっき奥さんって言われたことまだ根に持ってます。アレはとても失礼ですよ」

伊治さんはそういうとジーーーーーーとこちらを睨んでいた。





「まぁあながち間違ってはないですよ。私実は二回留年してるからそう言われるのは仕方ないです」

「二回留年?」

「そうです。私今は19歳で、後数か月で二十歳になるんです。夏輝ちゃんから聞かれてないんですか?前まで病気がちで学校に行ってないって」

「あーーーーーーーーーーーーー」

「なので今日の手伝いなのですが、荷物運びは無理なのでご飯作りが主なのですがいいですか?」

そういや前にそんなこと言ってたな。この人も俺と同じだったのか。

見た感じバカ正直そうだから簡単な口車でだまされた感じか。






「っということは夏輝が言ってたあの変な部活にも入ってるのか?」

「はい。もちろん入ってますよ青春部。校内や近辺のお掃除をしたり、生徒の依頼に答えたりと楽しいですよ」

「ふ~~~~~~~~~~ん」

ようはアニメの変な部活あるあるの雑用要因ってわけね。不登校の人間を無理やり学校に来させて単位を埋めるために奉仕活動をさせる。やってることがマニュアル道理動く無能教師みたいだ・・・・・





「なんですか。その返事は・・・・・・もしかして興味持ちましたか?」

「そんなわけないだろ馬鹿馬鹿しい。大体俺はあいつのことが大嫌いなんだ。なんであいつの思う通りに学校行かなきゃいけないんだ」

「でも、一緒に住んでるんですよね」

「それは強引に来ただけで俺は了承していない。追い払おうとしても返り・・・・・いや、聞こうとしないからうっとおしいたらありゃしない。さっさと出て行ってくれないかな」

「そうですか・・・・でも本当にうっとしいかったら追い出すことはできますよ。例えば夏輝ちゃんが外から出てる間に鍵を変えるとか学校に問い合わせるとかあります。そうしなかったのは貴方は夏輝ちゃんに今の自分を助けて」

「は?」





オイオイなにを言ってんだこの女。俺が夏輝に助けを求めてるだと!?

冗談と言ってるとしても笑えねぇぞ。

最初はおっとりしていい感じの女らしいが次第に腹が立ってきた。

まるで噴火寸前のマグマのようにだ・・・・・・






「アンタになにが・・・・・・」

ピンポーン!!!!ピンポーン!!!!

怒りをぶつけようとした瞬間インターホンが何回も鳴らされ、伊治にそう示されると無言でインターホンに手を取る。相手はあの夏輝だった。






『もしもし・・・・・明日火くんおはよう。今帰ったから開けてくれないかな?」

夏輝はこのマンションのエントランス側にいるようだ。さっきの伊治との会話でこいつの事締め出したい気持ちがいっぱいだった。けど・・・・・・・





『お~~~~~~~~~~~い聞いてる?全然あかないよ』

くっ・・・・・・・なぜか俺はエントランス側の扉を開けてしまった。

別に意味はない。近くにBBAがいるから変なことはできないと思っただけだ。




『ありがと~~~~~~回線が悪いのかと思ったよ。君のお母さん近くにいたからなぜ開かないのか結構イライラしてたようだよ』

「そうかよ。それは悪かったですね』

あっぶね。案の定あのBBAと一緒にいやがった。やっぱ余計な事考えなくてよかったん。俺はふと伊治の方に目を向けると、愛想笑いでお世辞をしていた。




『ねぇそれとなんだけど弥生ちゃんいる?いるなら変わってくれないかな?」

「なんだよ。上がってから言えよ』

『今からだとダメなの!!!!は・や・く!!!すぐ終わるから』

あ~~~~~~~~うるせぇ・・・・電話越しから大きな声を出すなよ。

俺はそのまま伊治に電話を渡し、夏輝のいう通り話はすぐ終わり、数分後夏輝とこの部屋で合流しさっそく引っ越し活動が始まった。




はぁ早く終わらないかな・・・・・・・

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