コンビニに立ち寄った

「ふ~~~~~~寒っ」

白い息を吐きながら深夜の夜道を歩く。

うちのマンションは一応コンビニはあるのだが、24時間営業ではないので久々に外を出た。

久々なせいかいつもより寒く感じてしまい、念のためにめちゃくちゃに厚着にしてなかったら絶対に風邪をひくレベルだ。

ここから近いコンビニというと徒歩で5分くらいの場所だ。

ただあの場所は周囲に隣接してる高級住宅街とかけ離れてる場所なので安全性は欠けているようでそれならここより歩いて10分以上先の近くに派出所があるコンビニの方がいいのだが、久々に外に出て早めに寝たい気持ちがあるので近い場所のコンビニに寄ることとなった。




まぁすぐ帰るだけだからなにも起きないだろう。

いざとなれば全力ダッシュで元の安全領域に戻ればいいし

そんな軽い気持ちを持つことを後に後悔すると知らずに一際暗い裏道に向かう。






裏道を抜け近くにコンビニがある道にたどり着く。

ここらは先ほどの住宅街と比べ街灯が一際薄暗くそれを表すかのように不気味に街灯が照らされていた。

そして近くには・・・・・・・・






「ぎゃはははははははは」

案の定深夜コンビニにたむろしているDQN集団。



しまった浅はかだった。こんなことならたかが5分強の差があってもあの遠目のコンビニに行けば良かった

そもそも自転車でかっ飛ばせばこんなことに・・・・・・・・・あっ自転車は前の学校からここに戻るときに爺ちゃんの家に置いて行ったんだ。

やっぱ周囲とのコミュニケーションがなく長い間家に籠りっぱだとIQが低下する噂ってのはほんとだったんだな。

通りであの疫病神なつきの排除に手こずるわけだ。

たまには外に出て歩くのもいいかもな。



そう思いながら俺はバカ騒ぎしてるDQNを無視しながら暖かい店内にはいる。

まったく先月よりマシとはいえこの寒い中たむろしてなにが楽しいんだか。





さっそく店内に入り適当に菓子とエナドリに期間限定のカップ麺をカゴに入れてコンビニ飯の方に向かった。



深夜に来たせいか弁当らはあまりないな。

あるのはサラダにうどんくらいか。




おっと、よくよく見るとエビグラタンがあるな。ちょうど後一個しかないしこれ買うか。

ついでにツナマヨにぎりを買ってレジに・・・・・・・




レジに向かう前に一番〇じがありそれに目がいってしまう。

なんと数年前からアニメ化し大ヒットした某五つ子姉妹がヒロインのラブコメ漫画の一番くじが本日販売になったようで、店頭にはその当たりである五つ子姉妹のフィギュアがまだ残ってるようだ。



「どうする買うか・・・・・」

正直これを買うのか迷っている。引きこもり前はあまりこういう萌えアニメには興味なかったが引きこもりになった影響か、ラブコメを見る機会が多くなってしまって、このアニメも最近自分の中ではまり出している。



やっぱ血かな・・・・・・・

姉貴もこういうものが好きだったからな。二次元のものに無性にハマり収集する性質があるようだ。




とりあえず5回くらい・・・・





・・・・・・・・・・・・




「ありがとうございましたーーーーーーーーーー」

ふぅ・・・・・・なんとか当たったな。

運よく美少女フィギュアを手に入れそれを入れる為の袋もついでのていでに買い店から出る。




当たったのはネットでは人気の三女か。嬉しいのは嬉しいのだがなんだか複雑な気分だ。

なぜならそのアニメの三女を見るとうちの姉貴を思い出す。

主に見た目や口調とかがなんとなく似ててもし実写化するのなら間違いなくあいつにキャスティングするくらいだ。

故に俺はその三女はあまり好きではない。

姉のことは別に好きでも嫌いでもないが、例えるのなら好きなエロゲのヒロインの下の名前が母さんと同じ名前だから好きになれないそれと同じだ。




といっても姉貴とは数年前から会話なくいつの間にか家出てるしなにやってるか分からない。今は赤の他人のようなものだが、このフィギュアを見てると昔の姉貴の顔がチラチラと浮き出てやがる。



くっ、夏輝にしろ姉貴にしろなんで俺はどうでもいいやつを思い出してんだ俺は・・・・

ガシャン!!!!!!





「おい、コラぁなにやってんだ。クソガキぃぃ!!!」

「やっべ!!!」

考え事をしよそ見をしてるとそのDQNが乘ってたバイクに当たって倒してしまった。

逃げようとしたがすぐに回り込まれて胸倉を掴まれた。



「逃げんじゃねぇぞ。クソガキ!!!」

「おい、この単車高いんだぞどうしてくれるんだボケが・・・」

「ちょっと待てよ。こいつアニメのフィギュア持って帰ってんぞ。オタクかよキメェ!!!」

「チー牛が・・・・・・深夜にウロウロしてんじゃねぇぞゴラァ」

そいつらは俺をオタクと知るとさらに見下した顔で俺のズボンをまさぐり財布を奪い札をゴッソリと抜いてしまう。




「今日はこれで勘弁してやる。サッサと失せな」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「あ、なに睨んでんだチー牛!!!!言いたいことがあるなら言えよ」

「くだらねぇ。お前らこんなことしてただで済むわけないだろ。大体のコンビニ付近では店の前や周囲には監視カメラが設置している。仮に俺の金を巻き上げたとしてもすぐ通報すれば足が付くぞ」

勿論これは嘘。このコンビニ来たの初めてだからどこに監視カメラ・・・・・そもそもこの周囲に監視カメラがあるか知らない。

少しでもこいつらを引き付け時間を稼ぐ。その間店内の店員が俺らの様子に気が付けばいいのだが、ここは博打に大声出すか。

そう思った瞬間DQNのリーダー格と思われる男が俺の口を強く押し付け言葉をふさぎ右足を強く踏まれた。





「くっ・・・・」

「調子乗んなよクソガキ。警察来る前にボコボコにすんぞゴラァ」

「やれるもんなやってみな・・・・カス」

「ああああ!!!」

俺は最後まで屈せずにDQNを睨みつける。

足を強く踏まれ骨折しそうな感じの激痛が走る。

ああ、また辛い思いすんのか。とことんついてない男だ俺は・・・・

殴られることを覚悟をし目をつぶった。だがその前に聞きなれた声がそれを遮る。

それは先ほどまでのんきに寝ていた夏輝だった。あいつは間抜けそうにあくびをしながらDQN共の前に迷いなく歩んでいた。





「はい、ちょっと待ってよ。彼ボクの友達だから放してやってよ」

「あぁ!!!!なんだこのアマァ!!!このチー牛の連れか・・・」

「うん。そうだよ。こんな暗い中勝手に外に出たからその説教に」

「ぎゃはははははははははは説教ってアンタこいつのお姉さん?なら、返してほしかったら俺らの相手してよ。ちょうど近くにホテルあるからさ」

なにやってんだ。あのバカなんで無謀にこっちに来てんだよ。つけて来るにしても普通遠くから警察に通報するだろ?なんでわざわざ危険な目に合おうとするんだ。

いくら背負い投げが得意だとしてこの人数相手できないだろ。





「えーーーーーーーーーとひぃ・・・・・ふぅ・・・・・みぃ・・・・四人か。ならすぐ終わるか」

「はぁ!!!なにがすぐおわる・・・かはっ」ゴキッ

「え?」

その瞬間夏輝は軽く跳ねた後、ものすごい蹴りのようなものがDQNリーダーの頭部に直撃し、崩れるように倒れた俺だけではなくほかのDQN共も驚愕し言葉を失う。

そして続けざまに蹴りを繰り出し今度はその取り巻きを裏拳で殴った後連続で腹部を蹴り、さらにもう一人の顔面に膝蹴りを繰り出し次々と撃破する。まるで無双ゲームのような爽快感を感じる。


そういやあいつ小さい頃いろんな格闘技を習ってたからなにも柔道技だけじゃなかったんだな。





「ここここここ・・・・・・・・このあまぁ!!!・・・・・・・・・・グヘぇ」

DQNは残り一人になりビクビクと震えながらパンチを繰り出すがそれは空を斬り顎に向けての強烈な蹴りをくらい男は歯が飛び散らしながら吹っ飛んでいた。





「や・・・・・やべぇぞ。こいつズらかるぞ!!!」

やられたDQN共は起き上がるとビクビクと震えながら俺の財布と奪ったお金を夏輝に投げつけた後そそくさと逃げて行った。

見た感じほどのトラウマを植え付けられたようだ。



「大丈夫明日火君?」

そういうと夏輝は先ほどの鬼神のような無双ぶりとうって変わっていつもの姿に戻る。

夏輝は心配と軽い説教と同時に財布と金を返してくれた。




後になんでここの場所が分かったと聞くとどうやら俺が家を出た直後に、ドアの音で目が覚めたようでこっそりと跡を付け、コンビニから出ようとした時に顔を出そうと思ったけど、その途中DQNグループに絡まれたからギリギリのタイミングで助けに入ったらしい。

いやいや、近くにいるならすぐ駆けつけろよ。

この女やっぱ俺をバカにしてるな。


そう疑ってたが、夏輝はギリギリの状態で助けたらヒーローみたいで好感度高くなるかな?とほざいてたが逆に好感度下がったわ。








「それはそうと明日火君なんか言うことあるよね?ん?」

こっちからの質問を終えると夏輝は鼻息を鳴らしながら耳を傾ける。どうやらさっき助けたからお礼を言って欲しいようだ。

はぁうぜぇ





「別になんもねぇよ。助けれる時に助けないやつに礼なんて死んでも嫌だ」

「お願い。一言だけでいいから!!!」

「その一言が嫌なんだよ」

「じゃあこのフィギュアはボクが貰うから!!!絶対あげないよ」

「どうぞどうぞ。どうせ欲しいモノじゃないから好きにして」

「むーーーーーーーーー」

またまた不貞腐れたみたいに口元を膨らましていた。これが嫌な時のこいつの癖なのか?

これはこれでからかいがいがあるが、一応助けてくれたんだからこれ以上はやめよう。





「分かった。分かった。なにか奢ってやる。それでチャラだ」

「いいの?ボク、君の評価的に意地悪そうだなら結構高いの選んじゃうよ?」

「構わん。俺のポケットマネーは結構ある方だ。好きにしな」

「ありがとう。それじゃ行こう。前から欲しかったアレ買っちゃお!!」





こうしてまたコンビニに行くこととなった。

宣言通り夏輝は容赦なく流行りのコンビニスイーツやお菓子やカップ麺と言ったあらゆる商品をカゴに入れ出した。




どうやら俺が全部奢るって言ったからなりふり構わず入れてるようだ。

賞味期限が切れそうになっても絶対手伝わないからな。太るまで食え。





「えーーーーーと最後にこれ買うか。明日火君は五回したからボクも・・・・・」

呟きながら先ほど俺がやった一番くじを夏輝もやるようで、同じく五回やることにした。

その結果、夏輝は俺よりも運が良く五つ子姉妹の長女と次女をゲットしたようだ。






もちろん俺は持ってる三女と俺が一番好きな次女と交換したのは言うまでもない。

交換する時あいつはなにか言いたそうに微笑んでいたがそれをスルーし無言のまま一緒に帰った。






別にあいつを受け入れた訳ではない。ただそのフィギュアが欲しかったから交換に応じただけだ。

決してツンデレという解釈ではないのだ。







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