弱点を突かれた

その夜の夕食俺は用意してくれたあいつが持ってきてくれた夏輝の婆さんのご飯を無言のまま自室に持っていて食べた。

勿論その時夏輝は深く頭を下げ謝っていたがいたが、俺はひたすら無視をした。



夏輝自身には非はない。体操前に家の周りを確認をしなかったのと、うちの学校の予定を把握しあいつがいつ頃家に帰るか聞かなかった俺が悪い。

けど、無視したり沈黙を貫くことがある意味正解かもしれないな。

あいつは俺のことをなぜか知らないがいい人と思っている。


でも時間が経てば無視続けた俺に飽きるかもしれない。

俺が悪い態度を取りさえすれば俺の勝ちだ。なぜそんなシンプルなことをすぐにしなかったのか自分の愚かさに腹が立つ。



俺の猶予は一年。恐らく父さんの方にもこのことを聞いてるはずだろう。

父さんは海外勤務でうちになかなか帰れないせいか母さんより甘い。その証拠に小遣いの7割くらいはもらってる。

時間が経ちわざと反省したふりをして父さんを説得すれば、爺ちゃんの家に住めなくとも父さんのいる海外に住むことができる。

そうすれば前のような優雅な引きこもりライフは出来ないかも知れない。

けれど俺が他人と干渉することなく静かに過ごすのはこの方法かもしれない。




まず最初に夏輝を排除するのが鬼門だ。






コンコン!!!

「明日火君、起きてるーーーーーーーーーーー?」

ハイ無視





コンコン!!!!

「おーーーーーーーーい!!!」

無視!!!!





コンコンコンコン!!!!!

「返事しろーーーーーーーーーーーーー!!!!」

無視無視無視無視!!!!!!





「失礼するよ!!!!うわっ暗いな。こんな暗くてゲームしてたら目が悪くなるよ」

やっぱ遠慮なく入ってきた。その様子だとまたピッキングしたようだ。相変わらずクソ失礼なやつだな。

夏輝は風呂上がりでシャツ一枚とショートパンツを着た状態で俺に接する無防備状態という初日に俺の部屋にお邪魔した時と同じ絵だ。



今回はどんなに密着しても動じない。動かざる事山の如しだ。




「今お風呂に出たからサッサと入りなよ。あの時はボクが悪かったから許してね。ね?ね?出ないとアレが間に合わなくなるじゃん」

間に合わなくなる?なにをだ?あいにく俺にはこの後お前と付き合う用事はないんでね。

さっさと帰ってくれ。




「・・・・・・・・・・・むーーーーーーーーーー」

しばらく無言を貫くと顔を膨らましながらこっちを睨んでくる。

なんだ暴力か?また俺を投げ飛ばしてみろ。今回は監視カメラ用意してポリスメンを呼ぶ準備をしているやれるものならやってみな。









「・・・・・・・・・・・・」

ツン!!!!

「うひぃ!!」

突然お腹の横である腹横筋を突かれて無意識に変な声を出してしまった。

その様子を夏輝は腹を抑えながら大きく噴き出していた。





「アハハハハハハハハハハハハハハハハ変な声出してる」

「夏輝!!!お前なにすんだ!!!!」

「あっやっと目を向いて喋ってくれた。ボクの勝ちぃ。いぇい」

・・・・・・・・・・・・・し、しまったぁ!!!!!

情景反射で突っ込んでしまったぁ。なにやってんだ俺ぇ。

それとこいつの浮かれ方めっちゃ煽ってるようで腹たつぅ。

恨むぞ俺の精神の弱さ






「ちゃんと話してくれたからこれ以上はからかわないでおくよ。でも、風呂から出て九時前にちゃんといつもご飯食べてるとこのソファに来てね。来ないと分かるよね?」ビシッ

人差し指を上にしそう言った。



なんだその死ねみたいな指の指し方・・・・・俺にとってはこの指し方は中指同様死の宣告だ。来なかったらさっきみたいに腹横筋を突かれてしまう。


俺さえ知らない弱点をよりによって天敵に知られてしまい屈辱の極みだ。

これ以上急所をつかれたくないので仕方なく風呂を終えさっさとリビングに向かうことにした。




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