身体をほぐした
チュンチュンチュンチュン・・・・・
この俺東雲明日火は引きこもりだが、必須な日課がある。
それはパンイチになった状態で足を広げながらストレッチをすることだ。
俺の日課は適当に目が覚めた時にやるルーティン。
今は昼の十二時とかなり遅いが、深夜までネトゲやるなら当たり前の習慣化だ。
まず、電気を消し運動できる空間を確保した後リラックスできる森林浴を体感できる癒しの音楽を流し腰を下ろしストレッチの為あらゆる箇所を動かす。
これを日に三回行う。
余談だがパンイチなのは単純な理由自然と一体化になることで身体が自然とリラックスになれるからだ。決して変態に走ったわけではない。
これは引きこもりになる為欠かさずやったことだが、今は肥満防止や運動不足といった症状をなくす為にやったいる。
なぜなら引きこもりデビューした一か月間の間今までやったルーティンを怠った結果、体重増減したりと無駄に疲労が増えていたから、なんとか防止しようとこれを復活したというわけだ。
身体の至る場所の骨を鳴らしながら長座体前屈をしなんなく手の指が足指に届く。
これくらいは朝飯前だ。その気になれば足を広げて頭に付くことも可能だ。
身体の柔らかさは誰にも負けない。全国の引きこもり集めて身体の柔らかさを競う大会があれば間違いなく優勝するだろう。
さてと、大体のストレッチは終わり最後の仕上げをする。
胡坐をかきまるでヨガをするかのように精神統一、流れる川のせせらぎや野鳥の鳴き声をキャッチしながら手を動かす。いわば最高の自分を生み出すためのイメージだ。
♪♪♪♪♪♪♪
鼻ずさみながら俺は手を動かしながら舞う。
今回のイメージは花。
まるでリズムゲーのような感覚で手と手首を動かしまわる。
これを三分間二セット行う。
肝心の脳内音楽は基本的にゲームの曲をイメージだ。
なぜ花にしたかのいうと、以前苦労してクリアしたクソゲーのラスボスをイメージしたからだ。
なんでも都心から巨大な花とデカい女が現れ急にリズムゲーが始まったからな。
ネット民はこのゲームクリアするのに大体半年かかったのだが俺はわずか二週間でクリアしたからな。おかげで音楽とリズムのタイミングが脳裏でしみついて、デカい女の踊りを完璧にマスターしてしまった。
まぁ癖みたいなもんだから、この花の踊りは五日に一回はやってしまうのだ。
このように最後のストレッチは基本ゲームとかクラッシックとか神曲をイメージして動かしてるのだ。
要は適当に近いようなものだが、それでも感覚でどこ鍛えたらいいかなんとなく分かるし、イメージしながら最近動かしてない箇所を重点に動かした方が気分的にいい。
ましてやリズムに合わせて動かすの好きな方だし。
それに先ほどの花の舞も手首や関節の働きにとてもいいからな。あんなゲームでも参考になる。
♪♪♪♪♪♪♪
ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ビクッ!!!!
アレ?なんかドア越しから急に悪寒がしたんだけど気のせいか。
さてとストレッチの続きを・・・・・・・
ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いやいやいやいやさすがにあいつな訳ないだろう。
だって夏輝は今学校だぜ。見た目からしての真面目でガサツちゃんがこんな時間に帰ってるわけが・・・・
ガチャ・・・・・
(そそくさ~~~~~~~)
・・・・・・・・・なんだアレ、ドアを開けたら見慣れた茶髪の女が忍び足でリビングに逃げようとしてるんだけど。
しかもかなりスローで音なくそそくさとしているから、逆に目につく。
むしろ目障りだ。
「おい、逃げるな」
「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「え?」
ガシャン!!!!
逃げようとしてる奴に近づこうと触れた瞬間またも一本背負いを食らいやちょっとした宇宙遊泳をした後床に強く叩きつけられた。
前回もそうだが家の中で背負い投げすんな・・・・・・
その後俺は普段着に着替えた後リビングのテーブルに座り夏輝と目を合わさないように横に向く。
「で、夏輝・・・・・先輩様はなぜこのような時間に家に帰られてるのですか?」
「そりゃこの前三年生の卒業式が終わったから早めに帰ってくるのは当たり前だよ」
「そうか・・・・・・もう卒業式終わったんだよな。なら。なぜ今まで早く帰らなかった?」
「卒業式が終わった後生徒会や部活とかの雑務があって中々帰れなかったのからね。やっと落ち着くことができたよ」
「けっ、ということはもうすぐ終業式だから平日もここにいるってことか。うっとおしいな」
はぁ・・・・・余計に憂鬱に感じるな。
さてと部屋に戻ってネトゲやろっと・・・・
「ちょっと待って。ボクも君に一つ聞きたいことがあるんだけど、なんで君は真っ暗な部屋でパンイチになりながら踊ってたの?」
「おっと、こんな時間だ。早くしないとクエストが間に合わなくなる!!!」
「逃げるな!!!ちゃんと話すまで部屋には戻らせないから」
「離せ!!!!お前に話すことはなにもない。今すぐ学校にU
ターンしろ」
「また投げるよ・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
どうにも逃げられないので俺は事実を言う。
まぁストレッチやるだけなら別にごまかす必要はない。
俺が秘密にしたいのはそのストレッチの元だ。
「へぇ~~~~~~つまり君は日に数回ストレッチしてるんだね。なんか意外だね」
「悪いかよ」
「悪くないよ。それに君の裸見てるといろいろ発見することができてね。一瞬しか見てないけど意外と筋肉あるんだね。ふむふむ」
あの・・・・・・勝手に人の身体を想像するのやめていいすか。
「もう一回見せて・・・・」
「嫌だ!!!!」
「ケチ!!!」
「ケチではない。逆にお前に今すぐ服脱げって言ったら断るだろ」
「・・・・・・・・・別に君だからいいかな」
なんでだよ。新手の告白ですか?
出会って数日しかないのになんでそこまで信頼してんだよ。こっちはただ拒否ってるだけなのに
事実を言ったので俺は静かにリビングを出る。
今日はこれ以上夏輝と関わりたくない。
「ちょっと待って最後に聞きたいけど、君が踊ってたのってもしかしてDO◯3のラスボス戦?」
「なぜ、それを・・・・・」
「昔友達がそういうゲーム好きだからお泊まりで深夜まで付き合わされててさ。いやと言うほどデカい女の人の動きが記憶に焼き付いててね中々忘れないんだよね。それに君、無自覚だと思うけど踊ってる時、鼻歌歌ってたから、あの曲だと思い出しててね。YouTubeで一応確認したら合ってたよ」
夏輝は無神経ながら元ネタのゲーム動画を流す。
その神秘的な音楽も今や処刑用BGMと化したのだ。
「それにしてもあの踊りをストレッチとして使うの結構変わってるね」
「・・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「あっ、ちょっと!!!」
恥ずかしさが込み上げ夏輝に捕まらないよう全速力で自室に入り引きこもった。
最悪だ。よりにもよって知りたくない奴に知られてしまった。
もうゲームを元にしたストレッチは止めよう。
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