凄く不味かった

「それでは手を合わして・・・・・・・いただきます」

「いただきます」

その後夏輝に半場強引に卓を囲って晩御飯を食べる事となった。




いざ夏輝が作ったカレーを食べることとなったのだが、如何せんどうも食べる気が起きない。

今まで母さんもといBBAや某チェーン店でのカレーを食べ慣れてるせいかどうもこのカレーは受け付けんのだ。




見た目のスプーンに収まることが出来ない野菜や肉の具材は勿論のこと臭いそのものがヤバい。夏輝本人は見る感じ自信満々気にしてるがどこからその余裕が出るのだろうか・・・・・・・・・・

とりあえず・・・・・・・相手が先に食うのを見計らって食べるか。







「・・・・・・・・・・・・」

「アレ?どうしたの食べないの?」

「いや・・・・・・ちょっとな」

「あ、もしかして、変な味がしそうだから食べるのを避けてるんだね。けど、安心してよ。ボクこう見ても料理経験者だから、こんな見た目してるけど味には自信があるんだ。ホラッ一気に行ってよ」

「本当かぁ・・・・・・・」




少し疑いがありつつも俺はカレーを頬張った・・・・・・だが、口の元から広がる強烈な塩みにより、リバースしそうになる。




うげっ、なんだこれ!!!!!水!!!!水!!!!

水を飲んだおかげで安堵した。





「おい、なんでカレーに塩が入ってるんだよ。俺を殺す気か!!!」

「アレ・・・・・・そうだっけ。砂糖を隠し味に少し入れたつもりなんだけど・・・・・・」

隠し味?仮に砂糖を正しく入れたとしても分量がおかしすぎる。その時は激甘なカレーになったはずだ。







「いやいや、どう見ても少しの分量ではない。アンタコレ味見したのか?」

「う・・・・・・・それは、・・・・・・・・ゴメン味見してないや。テヘッ」

なにがテヘッだ。全然かわいくねぇんだよ。




なぜ、夏輝が嘘をついたのかと問い詰めると、夏輝も自分が作ったカレーには自信がなく、味見がとても怖いから俺に毒見をしたっていうことだ。

どうやら夏輝は今は祖父母宅に住んでいて、料理は祖母がやったのを見よう見まねでやった結果こうなったらしい。

いや、本当に見てやったのかね?それすらも怪しい。




ともかくカレー全体が駄目になったので俺たちは二人は家にあったカップ麺とレトルトカレーで改めて夕食にすることとなった。



そこで本題を話す。




「で、夏輝・・・・・・先輩はどうやって俺の親に頼まれたんだ」

「コホン・・・・・・・・・それを説明する為に、ボクの事を説明するよ。先ほど名乗った通り名前は灰崎夏輝。私立東照高校二年生・・・・・まぁもうすぐ三年生になるんだけど、一応生徒会長だし」

こんなのが生徒会長?うちの高校終わったな・・・・・





「そこ、終わったと思わない!!!」

なんで思ったことが分かるんだよ。テレパシーか!!!



「そして、青春部部長。まぁ後者が本業ってことになるかな?」

「青春部?なんだそれは・・・・・・」

とても胡散臭いように思うんだが、いわゆる一昔前のラノベにあったふざけた部活みたいなものか・・・





「青春部・・・・・簡単に言えばまぁ万事屋みたいなものかな?主に校内や校外の掃除や電球取り換えとか恋愛相談や生徒と教師の不純異性交遊の調査とかかな・・・・」

「へぇ・・・・・・それで、母さんに頼まれて俺を引っ張ろうとしたわけね。あのBBA思ったより強引すぎるだろ」

「少し違うよ。君のお母さんに頼まれてない。ボクが君のお母さんに頼んだんだよ。それが青春部の本質さ」

「あ?」





夏輝はこれ以降青春部の説明をする。青春部というのは学校内で俺のように学校を通わない生徒に対し、相談奉仕をすることで、復学を促すための部活のようだ。

それでその青春部の何でも屋ってのは、仮に学校を通うことができても、なんらかの理由で元のクラスに戻れない生徒に対し、何でも屋の活動を一緒に行うことで、自分に自信をつけれるようにするための奉仕活動だ。

ちなみに母さんはこの話を聞いて最初は乗り気ではないが、夏輝の説得で仕方なく受けたようだ。




けっくだらねぇ。そんなアニメやゲームみたいに人間が変わるかよ。






「ちなみに、この部活動で更生した生徒は何人だよ?」

「え?それは・・・・・・・・」

「なに、言えないの?」

「一人・・・・・・・だよ」

「その子は元はなんの理由で学校にいけなかったんだ?」

「病弱で、留年しそうだから、直接家に言っていい話を聞いたりしたかな。例えば家に来て勉強教わったりとかゲームしたりとかおかげで内申点ギリギリだけど無事進級できるそうだよ」

「そんなこと聞いてない。他にはいないのか。俺以外に引きニートとか不登校とか」

「他にはいるけど、一番話聞いてそうなのが君だったから。だって、他の子は私が話し合おうとした瞬間学校辞めてたから」

何が君だったからだよ。くっだらねぇ。ようは俺は貧乏くじが当たったわけね。




あきれた感情がいっぱいで俺は立ち上がった。





「どこ行くの?もっと話そうよ」

「はぁ、他に話すことねぇだろ。せっかく家にいるんならアンタの好き勝手にやれば?そんかわり俺の邪魔すしたら即学校辞めるから。このさい、ホームレスになろうが別にいい。お前のような偽善者に洗脳されんのなら野垂れ死んだ方がましだ」

「ちょっと明日火君、敬語は!!!!」

「知るかそんなもの・・・」



うぜぇ夏輝の言葉を無視し自分の世界に戻る。






なにが青春部だよ。なにが更生させるだよ。俺の闇は・・・・・・アンタが思ったよりか深いんだよ。





なんせ俺はこの世で最も必要のない人間だからだ。



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