第1話

学校とはだるいものである。それはどんな学生でも一度以上は思うことであろう。勉強は学生の本文だとか抜かしている奴もいるがそれは絶対に間違っていると言い切れる。学校とは先生の言うことに忠実に従うロボットを量産する場所だと考えているからな。どちらにせよめんどくさいことには代わりない。


「って思うんですけど先輩はどう思いますか?」

「相談があるって言われて話を聞いてあげたのに想像以上にどうでも良い話だった」


そう言ってため息をつきこちらに呆れた視線を向けてくる人物こそ、この学校の生徒会長である高校3年生の白石雫。腹たつことにこの人は俺の親友の彼女である。

黒髪ロング、端正な整った顔、まるでモデルみたいな体型。まさに大和撫子と言った絶世の美少女である。

そして俺は生徒会雑用係である星宮怜。この完全無欠な生徒会長と違って見た目は陰キャ、長めの前髪がその雰囲気を一層醸し出している。まあ想像できることであるが彼女はいない。告白されたこともない。告白したこともないの3拍子が揃った男だ。まあ好きになった人がいないと言うのが正しいのかもしれないが。

言ってて悲しくなるからこの話はもうしないことにする。それよりもだ。


「まああいつからまた相談されてですね」

「あーそう言うことね。まあ最近忙しかったからなかなか2人でいる機会がなかったからかー」


そう言って額に手を当て『アチャー』という仕草をする雫先輩。


「はあーあいつから最近彼女が冷たいって抱きつかれるこっちの身にもなってくれませんか」

男から泣きつかれるんだぞ。しかも親友から。暑苦しくてたまらなかったわ。そう入ってもあいつの言いたいこともわかるので一概に拒否することもできない。

「まあもうすぐ生徒会の仕事も終わるからね」


そう言って最初に比べたら少なくなった書類の束を見る雫先輩。

机丸々書類で埋まっていた時期もあったぐらいだから結構頑張ったのではないかと思うのだが...


「まあそうですね。どうせまた仕事が貯まるんでしょうけど」


結局仕事は増えていく。毎日の掃除と同じようなことだ。掃除したのに次の日になるとすぐに汚れているようなことだ。


「それもそうなんだけどね」

「まあ生徒会メンバーが5人しかいないのが問題な気がしますけどね」

「書紀に会長、副会長、総務に会計。まあ他にも委員長とかもいるから少なくはないのだけどね。いかんせんそれぞれに仕事が与えられているからどうしても手が足りなくなるのよね」


各種の季節行事が控えている中、行事の案や運営などで駆り出される日々。一人しかいないが一年も入っている。おまけに副会長は家庭の事情で生徒会活動にそこまで参加できない中、自分の時間など取れるはずがないのだ。自分の時間すら取ることもままならない今彼氏なんかに時間を避けるはずもない。

残念だったな我が親友よ。


「それにあなたには半強制的に入ってもらったわけだしね」

そう言って少し気まずそうに俺から視線を離す。

「まあそうですね」


俺はもともと生徒会に入る予定はなかった。入る気もなかった。そうやって思っていたのだがこの腐れ縁である生徒会長こと白石雫に勝手に名前を入れられて推薦枠として強制参加となったわけだ。俺は目立ちたくないということでほとんど集会などで話すことはない。そもそも俺のことは幻の5人目という肩書で通っているほどだ。


「とりあえずこれらを片付けますか」

「そうね。明日に残すわけには行かないもの」


目の前に積み上げられたプリントの山。それらに目を向けながら他愛のない世間話をしながら雑務を片付けるのであった。


「終わった...」


外がすっかり暗くなった頃。あれ程あったプリントの山が跡形もなく片付いていた。

途中教師のミスが発覚して一時パニック状態になっていたがなんとか終わった・


「そうね...今日はもう帰って寝たいわ」


そのかわりといってはなんだがどちらも燃え尽きていたが。


「ああ早く家帰ってご飯食べたい」

「一人暮らしだっけ?」

「そうですよ。最近はずっとスーパーのお惣菜ですけどね」


一応自炊もしている。が生徒会の仕事で夜遅くまで残ることが最近多く簡単に済ますことが多いのだ。


「ひとり暮らしも大変ね」

「まあ俺の場合なれてますけどね」

「それもそうね」


そういって微笑む雫先輩。ほんの少しだが照れてしまいそうになる。


「そういえば、転校生が来るらしいわよ」


ふと思い出したのかのように話題を振ってくる。


「転校生ですか?この時期に?」


今は5月転校する時期にはとても微妙な時期な気がするのだが。


「どうも本人の事情で通信制から全日制に切り替えたらしくて。その通信制の学校が私達の学校の経営者と同じらしいくてそのつながりで入ってきたらしいわよ」


まあそういうことなら納得できる。この学校は良くも悪くも狙いやすい場所にいるのでここに決めたということか。


「ちなみにあなたと同じ年齢でクラスらしいわよ。しかも女子。もしかしたらあなたにも春が来るかもしれないわね」


そう言って少し煽るような発言をする意地の悪い先輩に対して俺は


「そうだといいですね」


そっけなく返すのであった。

しかしそんな俺に対して先輩は何も言葉を発しなかったが、どこか雰囲気が嬉しそうだった。


【後がき】

本日は2話だけ投稿します。書きだめがないので途中から投稿頻度が激落すると思います。ご了承ください。あんまり評判が良くなければ即別作品に行くと思います。



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