おばけのフワリ

 ヨナ。それはおじさまに弟子入りしたときの名前だった。よは魔法使い専用の名前だ。私は気に入っているけど、古くさいよと周りに言われる。私は気にしない。それが好きな名前だもの。


 それはそうと、白月を見たときは確かに胸がざわついた。でもそれは当たっていたみたい。おしさまかいうんだから、何か不吉なことがこの世界に起きるに違いない。


 地震、大火事、大洪水。


 魔法使いが魔法院に総動員で呼び出されるわ。私は行くかはわからないけれど、おじさま次第だとは思う。



 封筒を擦りながら、万能アブラカタブラを唱える。

「アブラカタブ......アブラカタブラ。何が出てきておくんなさい」

 もくもくしながら何かふわふわした物体が出てきた。

 オバケだ。


「ご主人、はじめましてでございます。わたくし、フワリフワルと申します。ぜひフワルと呼んでおくんなまし」


 わたあめを思い出してほしい。それがほぼフワルだから。


「それにしても、アルカナ街からの度は退屈で大変でした」


 あ、またなにやら愚痴っぽいのか増えた。

 私はさっき出ていった黒猫を思い出してため息をついた。







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