第12話 7億円の活動費と、極右系宗教団体



「なんだ、これ……」

意味がわからない。


「昔、ある掲示板で、『西尾さんに目を付けられた人は消される』 って見た事あるけど、どうも都市伝説じゃなさそうなんだな」


 多くの書き込みを見るに、こんなに多くの人が何処から?と思わずにはいられなかった。

みんな後援会の人? それとも佐村氏繋がりなのか。

そのときちょうど、メールが届く。

ちょっとごめんね、とまつりは一旦端末を自分にしか見えない角度で弄り始め、

やがて「リュージから」と、改めて画面を見せた。


「たぶん、ここから投入してるんだろうね」


  そこに書かれていたのは、まつりの知り合い(元刑事)のリュージさんからだった。

「西尾新 後援会や活動費用の7億円程が佐村氏と彼の属する宗教団体から出資されているようです。今週の週刊誌に載っていた記事ですが……」

と画像が添付されている。

「宗教団体絡みか」

票数獲得のために、宗教団体をバックに付けるのは何処でもよく聞く話だ。



「……しばてつや賞の漫画」

少しの間静かにしていた彼女が、自分の端末を見せてくる。

「私もさっき検索してみたんですけど、掲示板で彼らが話題にしているものにこれが――――」

 しばてつや賞は自らも挑戦者で在り続け、数々の『挑戦者』を募っていることで有名な作家の賞だった。その優秀賞に輝いている作品が話題になっているらしい。


「この、キムさんと歩いてるの、兄にソックリです。まるで見ていたみたい」


それは引きこもりの兄と、弟の関りを描いた漫画で、

漫画家を目指す弟の家に兄が居候しており、

 なんかいろいろあった後、弟がついに受賞すると、裏で兄が炎上工作をするようになる――――というものだった。

  その中で兄が「キム」という女性と親しくなっている描写が度々挟まれて居た。

だけど、見ていた、って……この漫画を描いてる人が……?










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