野球の禁じられた世界
テレビ画面の奥で評論家のような人が話していた。
「都市化もいきすぎると怖いですよね。綺麗な景観と呼ぶ人もいるかもしれませんが、どんどんとつまらない街になってますよ、間違いなく。」
2015年辺りから世界では光合成の技術をコンクリートに移植する技術が発展。それによりグリーンタワーと呼ばれる光合成を行う建築物が街でも見られるようになっていった。
この技術により世界中で都市化計画が急発展。先進国は競い合うように都市化を推進し、森林伐採を行なっていった。
野生動物を完全に人間の支配下に置く計画も進み、人為の及ばない自然はどんどん姿を消した。
どれだけ伐採しても世界で起こっている異常な経済競争についていくためには足らないらしく日本政府はついに人口が減少しているスポーツを対象にその施設を解体してまわり始めたのだ。
そこで目をつけられたのが野球だったのだ。
近年、野球人口は恐ろしい勢いで減少の一途を辿り、昔作られた野球場が使われることなく野放しにされることも増えたのだ。
かつて日本のメジャースポーツだった野球はプロの技術の水準もどんどんと落ち、注目する人もいなくなっていったのだ。
そして2023年、ついにプロ野球協会は衰退により解散を余儀なくされ、仕事としての野球は消え去った。
しかし野球を好きな者は変わらず存在している。
今日もまた、いろいろな場所からボールを捉える快音が聞こえてくるのだった。
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