第20話 AIで生成した小説 ~歴史編~

AIで歴史小説を作成してみます。歴史小説といえば、実在した人物をモチーフにしたものが多いですが、今回は縄文時代の貝塚について書きます。概要としては、従来までの貝塚の研究から違った視点での議論が話題になっている……、という展開のものです。



◆AIに入力する最初の書き出し


・タイトル

貝塚の真実


・キーワード

貝塚、縄文時代、新発見、魚介類、集団生活、ゴミ捨て場


・登場人物

縄文人:縄文人とは縄文時代に日本列島で暮らしていた人間のこと


・内容

貝塚とは、主に海岸部に暮らす人間が捕食した貝の貝殻を破棄した場所のことである。別の言い方をすればゴミ捨て場とも言える。貝塚は、その近くで人間が集団生活を行っていたことを示すものあり、当時、周辺で暮らしていた人間の食生活を知ることができる。



◆AIを活用して作成した続き


貝塚から見つかるのは貝殻だけではなく魚やイルカ、ヒトデなどの骨や玉、多くの獣骨、ニホンカワウソやイヌ、ノヤギなどの動物類も発見されており、縄文人の食生活も垣間見ることができる。また、貝塚からは、焼玉や青銅製品、刀、ナイフ、釣り針など生活道具も発見されており、貝塚は人々が生活する時に使った道具の宝庫となる。したがって貝塚を調べることで当時の人々の食生活だけではなく、文化風習をも知ることができる。


このように貝塚は縄文人の生活を把握するために重要なものであるが、最近、この貝塚を巡って興味深い議論が考古学者の間で繰り広げられている。それは縄文人のゴミ捨てのルールについてである。つまり、ゴミ捨て場である貝塚を当時の人々がどのように使ってきたのか、ということである。貝塚は現在のゴミ捨て場と異なり、実にロマンティックな場所と化しているのだ。貝塚に対する現在の一般的なイメージであるゴミ捨て場や、ゴミ集め場所という感覚はこの貝塚には存在しない。貝塚をめぐっての議論が今までにないほど活発に繰り広げられるようになった背景に、現代の人々には関係のない、縄文時代や縄文人の当時の暮らしが、また新たな目で見直されてきている、ということがある。


現在、考古学者の議論で導きだされた縄文人のゴミ捨てのルールを紹介してみたい。


【ゴミの分別】


貝塚からは貝殻や獣骨、土器などが見つかるため、縄文人はゴミを分別する習慣がなかったと想像できる。現代では、可燃ゴミの収集日に他人が不燃ゴミをだしていると苛立ちを感じることも少なくないが、縄文人にはこのようなストレスは存在していなかったのではなかろうか。縄文人は今で言うリサイクルとは無縁であり、物に対して余分な執着をしなかった。なお、貝塚の中には、人骨が見つかった事例もあり、地域や集落によっては祭祀の意味もあったかもしれない。ただ、人骨と貝殻などが同じ場所にあるため祭祀を想像するのは困難である。



【ゴミが一杯になったら】


実際にゴミ捨て場が一杯の状態をはじめて目撃したのは縄文人である。縄文人はゴミ捨て場が一杯になり、ゴミを捨てられなくなると、集落の外や人のいない場所にゴミを捨てるようにした。このような光景も貝塚から読み取ることができる。ここで気になるのは、ゴミ捨て場が一杯と判断される基準である。これまでに発見された貝塚の高さや広さはさまざまであることから集落ごとのローカルルールである可能性が高い。または、集落のリーダーや清掃担当のようなポジションの人間が判断して、貝塚の新設をすすめていたのかもしれない。しかしながら、現在までに、これらを証明するような痕跡を確認することはできていない。



いずれにしても、縄文人にゴミ捨てのルールがあったとすれば、ゴミ捨て場を最大限有効的に活用するために編み出されたものだろう。ゴミの収拾場所まで運ぶ負担を少しでも軽減し、ゴミ捨てに必要なモノを少なくすることによってゴミ捨ての頻度を減らしていたかもしれない。なお、なかには、縄文人は自分たちが食べる生き物や貝、魚の骨や尻尾、獣の骨などをゴミ捨て場以外の場所に捨てていたという報告もある。いわゆるポイ捨てである。マナーの悪い縄文人もいたようだが、当時にはマナーという発想はなかったかもしれない。


現在、我々はゴミの山を週に数回ほどみているが、ゴミ捨てのシステムは縄文時代からほとんど変わっていない。これまでは貝塚からの発掘品や周辺環境の分析が中心であったが、考古学者の議論や情報サイトが充実することにより、縄文の人々の暮らしについて、またゴミ捨てについてなど、新たな角度から知ることができるようになった。考古学は出土品の新しい発見や骨角器などの新しい道具類の研究から、縄文人の日常生活や考え方を明らかにしていくことが期待される。


<終わり>



AIは最初の書き出しから貝塚に関する文章を生成しました。ぱっと見た感じでは、貝塚を正しく説明しているように見えます。その次に、AIは貝塚が当時のゴミ捨て場であったことからかゴミ捨てのルールについて生成しました。これを創作のアイデアとして利用し、手動でゴミ捨てのルールに関連するような「ゴミの分別」「ゴミがいっぱいになったら」という切り口をAIに与えて文章を生成させます。このようにして完成したのがデモンストレーションです。


ここでひとつAIを使って歴史小説を作成する際のポイントについて触れたいと思います。今回、AIが生成した文章には次のような一文があります。


「貝塚から見つかるのは貝殻だけではなく魚やイルカ、ヒトデなどの骨や玉、多くの獣骨、ニホンカワウソやイヌ、ノヤギなどの動物類も発見されており、縄文人の食生活も垣間見ることができる。また、貝塚からは、焼玉や青銅製品、刀、ナイフ、釣り針など生活道具も発見されており、」


もし、この文章を作成したひとが、貝塚は縄文時代のゴミ捨て場で縄文人が食べた貝などの殻や動物の骨が捨てられている、というような知識があれば、なんとなく貝塚を正しく説明しているような印象を受ける可能性がありますが、この文章には貝塚から見つかるものとして「イルカ」「ニホンカワウソ」「ノヤギ」「焼玉」「青銅製品」「刀」「ナイフ」なども羅列されています。はたしてこれは正しい情報でしょうか。歴史に知見がないとすぐにはわからないはずです。今回、AIが生成したこの部分は(ほぼ)正しいのですが、AIで歴史小説を作成するときには、AIが生成した文章を史実と照らし合わせる必要があります。AIの文章は、それらしいことが書かれていますが、年号や事件、史実に登場する人物を正確に理解はしていません。従って、もし史実に即した小説をAIでつくるのであれば、生成した内容が事実であるかをチェックする手間がかかります。



【次回予告】AIでラブコメに挑戦

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