第16話 AIで生成した小説 ~ホラー編~

AIでホラー小説にチャレンジします。ホラーといっても「アニマルホラー」「パニックホラー」などを呼ばれる人喰ザメを題材にしたものです。人喰ザメを題材にした映画は多くあり、おおよそ共通したストーリー展開は (1)序盤:人喰ザメが主人公以外を襲う (2)中盤:人喰ザメの存在が明らかになる (3)終盤:主人公と人喰ザメのバトル、です。今回のデモンストレーションでは (2)中盤までを短い文章量で作成します。



◆AIに入力する最初の書き出し


・タイトル

パラライズ~人喰ザメの罠~


・キーワード

人喰ザメ、サメ、鮫、毒クラゲ、麻痺、罠、シャークアタック


・登場人物

ロイ:主人公。サブマリンLLC海洋生物研究所・所長。45歳。

マリアン:ロイの一人娘で女子大学生。趣味はダイビング。18歳。


・内容

ロイとマリアンは、実に仲が良い父と娘である。ロイの妻は、マリアンが3歳のときに病で他界し、以来、男手ひとつでマリアンを育ててきた。ロイの仕事は海洋生物の研究であるが、幼かったマリアンを自分の職場に連れてきては、研究所内にいくつもある水槽で回遊するカラフルな魚やウミガメ、クラゲなどをみせて喜ばせていた。この影響か、マリアンは物心ついてからも父と同じく海洋生物に深い興味を持ち続けて、ダイビングで珍しい海洋生物の写真を撮影してはSNSで配信していた。

最近、メキシコ北西部、カリフォルニア半島西の海域にある孤島で珍しい海洋生物の発見が相次いでいた。それまでは誰も気に留めることがなかった孤島であったが、数年前に大手航空会社が再開発を行い、高級リゾート地としてオープン。小型機や船舶での往来ができるようになったことで、観光客が海洋生物と遭遇する機会が増えたことが発見の要因だ。今回、ロイはこの孤島での海洋生物の調査を行うことになったが、



◆AIを活用して作成した続き


それを知ったマリアンの執拗なおねだりに負けて助手として一緒に調査を行うことにした。


ロイとマリアンは、メキシコのエンセナダ港から船で孤島に向かった。孤島に到着する頃には日が沈み、高級ホテルの窓から部屋の明かりが海面に降り注いでいた。チェックインを済ませたふたりは別々に、海中観測調査の準備に取り掛かった。


同じ頃、ホテルの正面にあるビーチでは、若いカップルが浅瀬でいちゃついていた。水深1.5から2メートル付近のあたりだろうか。ちょうどホテルの窓明かりが届くか届かないかのところで抱き合っていたため宿泊客から気づかれることもなく、人目を気にすることもなく波音が騒がしい中、抱擁を繰り返していた。すると、沖に背を向けていた男性にものすごく強い力で押されたように女性が陸側に突き飛ばれた。一瞬の出来事である。次の瞬間、男性の断末魔が女性の耳に飛び込んできた。


「ギャー!」


男性は言葉らしいことを発せず、ただ、悲鳴を上げているだけだった。


女性は、瞬間的に状況を察した。きっと、サメにやられたに違いないと。


既に、男性の姿は、海中へと消えていた。


「誰か助けてー」


女性は、ホテルに向かって叫んだが、大きな波音が響いて届くまでには至らなかった。女性は必死に陸に向かって泳いだ。そのとき、女性の目には水面付近に無数にぼんやりと光るものが映った。次の瞬間、泳ぐ女性の指先や脇腹にヌメりと針が刺さったような痛みを感じた。すると、女性はビクビクッと痙攣けいれんし、溺れるように水中に沈んだ。


どうやら強い毒性を持つクラゲに刺されたようだ。手足は動かすことができないため、女性は人喰ザメの餌食になるか、窒息死のどちらかで自分が死ぬことを覚悟した。次の瞬間、巨大なサメが沈む女性を、大きな口を開けながら吸い込むように飲み込んだ。サメは、自分より遙かに小さな人間など小魚程度。むしろ、人間を餌として認識するのだろう。飲み込んだ女性にサメは噛み付いたりはしなかったが、サメは満足したのか、大口を開けて海中へとゆっくりと潜っていった。


翌日、ロイとマリアンの親子は、海洋生物の調査にでかけた。場所は、ホテルから数キロほど離れた侵食によってできた海底洞窟だ。ホテルから海底洞窟に向かう間、ロイはマリアンに注意事項を話した。


「この海域から少し離れたところは、世界でも有名なホオジロザメの生息場所だから海面の光が届かないところは注意が必要だぞ。調査は、夕方になる前に切り上げよう」


するとマリアンは、笑いながら話した。


「サメが襲ってきたら、私の水鉄砲でよその島まで逃げるさ。大丈夫、多分、戦って勝てるよ」


世界でも有名なホオジロザメは、その独特な外見、強靭な顎と海中での戦闘能力を如何なく発揮するため、海底洞窟でも危険生物として指定されている。そのため、ホオジロザメが生息している場所には、人が近づくことはできない。


孤島の岸壁にぽっかりと空いた海底洞窟の入り口に到着した。


洞窟は、緩やかな斜面になっていて一番深いところでも10メートル程度で、全長は100メートルに満たない。途中、海底ではオカリナのようにいくつかの穴が空いていて、外洋につながっている。


今は引き潮のため歩いて30メートル程度はいけそうだ。


「さあ、明るいうちに調査を進めよう!」


ロイはマリアンに合図を送った。


予測通り、30メートル付近から海水になっていた。ロイは海面に向かってライトを点灯すると、壁面を這うようなフラフラと光る影が数体見えた。


「色や触手の長さから判断して、猛毒クラゲかも。海に出たら気をつけてね」


マリアンは海底洞窟を慎重に進んだ。ロイは、たまに光るクラゲが光らなくなったタイミングで、ライトを点灯した。


調査しながら20メートルほど進むと、外洋につながる穴から結構な勢いで潮が入りこんできた。


「マリアン、少し潮の流れが速いみたいだ。外洋に出ないように気をつけろよ」


ロイは水中トランシーバーでマリアンに伝えた。数メートル進むとふたつ目の穴。さらに、数メートル進むと3つ目の穴が現れた。3つ目の穴は直径が3メートル以上もある大穴で入り込んでくる潮も流れも強い。


ふたりは潮の流れに気をつけながら進み、3つ目の穴を通り過ぎようとしたとき、マリアンは外洋の方向へライトを向けた。ロイの尾ビレがなびき、強い光が洞窟の暗闇を照らし、ライトの光に照らされた影を浮かび上がらせた。


「見たことがあるのが海底に潜んでいるぞ」


ロイはライトを点灯しながらマリアンに言った。


「サメだ!」


ロイは、ライトの光に照らされたクジラのような形をしたサメの姿を確認できた。


「直径3メートルほどの穴と同等の太さがあるヤツだから、相当な大きさだ。狭い洞窟の中で、こんなヤツに追われたら終わりだ。引き返そう」


ロイは恐れてはいたが、冷静にマリアンに伝えた。


ふたりは、まだ、太陽の光が差し込む入り口に向かって引き返しはじめたが、最悪な事態が発生した。最初の外洋とつながる穴から大量の毒クラゲが潮に流されて洞窟に流れこんできたのだ。


美しく淡く光る毒クラゲが洞窟の入り口への通路を塞ぐ……。


振り返ると、太陽の光がサメの全身をはっきりとみせた。体長7メートルほどのホオジロザメに違いない。


果たして、ロイとマリアンは、この絶体絶命の危機をどう切り抜けるのか!?


<終わり>



冒頭で書いた通り、人喰ザメを題材にした映画の定番とも言えるストーリー展開をAIで作成しました。しかしながら、AIがいくら優秀であってもなかなか思惑通りのストーリー展開にすることは困難です。従って、今回のデモンストレーションでは、ある程度、思い通りのストーリー展開になるように、AIの文章生成の途中で、手動で軌道修正をしています。例えば、若いカップルがホテルの前のビーチで襲われるシーンは、意図的に手動で軌道修正してからAIで文章生成をしています。「ホテルの正面にあるビーチでは、若いカップルが」という一文を手動で追加して、その続きをAIに考えさせて人喰ザメに襲われる展開に続けていきます。他にも主人公たちが海底洞窟で人喰ザメと初めて遭遇しますが、この海底洞窟という設定、そして海底洞窟の全長やその中にある外洋につながる穴の数は文章作成中に手動で追加したものです。このようにAIで文章を作成している過程で、舞台設定を追加して、AIに文章を生成させることを繰り返すことで思い描いた舞台でのストーリーを作成することができます。


これまでに紹介したデモンストレーションと同じく、少ない文字量でまとめているためたくさんの粗はあります。実在の人喰ザメを題材にした映画では、約90分から120分間の上映時間のすべてに人喰ザメが登場するわけではなく、登場人物の人間関係の描写もあります。今回のデモンストレーションをより本格的なものにするには、ロイとマリアンの詳細な生い立ちや親子関係、最終的に人喰いザメに勝利することを想定するのであれば撃退する武器や方法の布石などをAIに深掘りさせる必要があります。



【次回予告】AIでSF小説に挑戦

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