第11話 生死の境からの帰還
ゆっくりと目を開ける。
目の前に広がる景色は程までの葬儀場ではない。
俺はベッドの上に横たわっていた。それも、ハイルやリア、オーキッド姉妹に囲まれた状態で。
「…あれ、俺……。」
「!起きた!?」
何でそんなに驚いているのか一瞬分からなかった。が、すぐに意識を失う前に起こった出来事を思い出し身震いした。
覚えていることは少ないものの、 大量のガラスが上から降ってきたこと、言葉にできないような苦痛を味わいながら意識を失ったこと。
ふと、頭に疑問が浮かんだ。
まず、生きているのは何故?
鮮明に覚えている訳では無いが、大量の血を失った。時間が経過していくと共に、段々と体温が落ちていくあの恐ろしい感覚が体に残っている。
何気なく手を見つめた俺は、あることに気が付き咄嗟に体を起こした。
……ない。傷が、残っていない。
それだけではない。あれだけ強かった痛みも残っていない。
まるで、魔法や超能力でも使ったかのように。
キョロキョロと体を見つめている俺にリアが話しかける。
「ハイルに感謝しないとダメだよ。まあ、今は疲労で休んでるからいないけど。ほとんど全部、ハイルが治してくれたんだから。」
「え、どうやって……?だって、あんな、酷い状態で─」
「本当は呼び出した時に説明するつもりだったんだ。でもごめん、順序が逆になっちゃったね。」
落ち着いた声でリアは続ける。
「まずは、今の君の体について、と言いたいところだけど。先にこの世界について説明しておく必要がありそうだね。話が長くなりそうだし、紅茶でも飲みながら話そうか。」
リアはメディキーナに紅茶の用意を、ラディアータにはメモを取るように伝えた。
用意された紅茶を1口啜ると少し気持ちが落ち着いた。
「それじゃ、説明を始めるよ。なんで君がここにいるのか。私達に羽がある理由。できる限りの事は教えるつもりだから。」
説明会が、始まった。
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