第2話 ナオよ、おまえは ” ミリオタ ” になるのだ・・・
〖マカ〗
ナオが長期間の入院による勉学の遅れを取り戻そうと励み、
それに加えて見ているだけで辛そうなリハビリに挑む中・・・
実は私の方にも、大きな進展があった
それは・・・
《ナオ、聞こえるか?》
〖誰?〗
《私だ・・・マカだよ》
〖知らない・・・誰?〗
なんと、ナオが眠っている時に限ってではあるが(意識の中で)話かけたら返事をしてくれるようになったのだ。ただ、残念なことにこの眠っているナオも私の事は全く憶えていないらしい。
《そうか、色々あったからな・・・今の君は私の事を忘れてしまっているようだ。私はマカ。今はナオの中に居る・・・君の協力者かな?》
〖協力者? なんの?〗
《まずはナオのケガの事だが、私のギフト・・・つまり私の持っている特殊なチカラを使って治療を速めている》
〖そうなんだ、そういえば先生に「若いから回復力がすごいね」って言われたよ〗
《あまり急激に回復させるのは、こちらの世界ではありえない事のようだからね、その辺は加減しているよ》
〖そうなんだ・・・でも、こちらの世界って?〗
《ナオと私とはココとは別の世界で・・・丁度逆の立場だったんだ》
〖逆?〗
《そう・・・ある日突然、私の身体に君の意識が入りこんで来てね、しばらく一緒に居たのだ。私は、その時に君が決めたどうしてもやりたい事を応援する為の協力者なのさ》
〖僕がどうしてもやりたい事ってナニ?・・・覚えてない〗
《どうやらそのようだ、まあ、その話も含めて・・・少し長い話になるが、私も頑張って説明するから聞いてくれ・・・》
〖わかった・・・〗
ナオは眠っているので正確な時間はわからないが、私の体感で3時間ほどの時間をかけ、あの時にオーランドであった事を丁寧に説明した。
我々の世界で起きた神々戦いの神話や
初めての経験だったが、私はこういう話をするのに向いているのかもしれない。
そして次の日の夜、ナオが眠った後。
《やあ、ナオ》
〖誰?〗
《・・・だからマカだって、ほら昨夜説明しただろ? 君の中に居る君の協力者だよ?》
〖知らない〗
《えっと・・・昨夜の話は?》
〖何のこと? 知らない〗
ああ・・・せっかくナオの意識に接触出来たと思っていたのに、
これはもしかして反射的に返答されてた・・・だけ?
よくわからんが、これはナオの意識の深層部分? いや、無意識領域への接触・・・なのか?
あれだけ頑張って、頑張って説明したのに、あの苦労が全部無駄だったとは・・・
いや、まだだ・・・諦めるな。
たとえナオが憶えていなくても、何度も繰り返せばいつかは何か効果が出るかもしれない・・・意識の深層に刻み込むつもりで繰り返して何度もやってみるんだ。
こうなったらヤケだ、毎晩、説明ついでにナオがミリオタになるように説得してみよう。
《ナオ、お前はミリオタになるんだ・・・》
〖やだ・・・〗
《ナオ、ミリオタは(きっと)カッコいいぞ》
〖興味ない・・・〗
《ナオが望めば、どんな銃器も戦車もミサイルも・・・より取り見取りだぞ》
〖必要無い・・・〗
《ナオ、ミリオタになれば女の子にモテモテだぞ》
〖・・・・・・う、うるさい〗
《今、ちょっと良いかもって思っただろう?》
〖うるさい・・・黙れ〗
こうして、昼間は情報収集とギフトの変質、夜はナオがミリオタになる様に根気よく語り掛けを続ける等、けっこう忙しい日々を送っていた。
さて、新しい街で高校生活というのが始まった訳だが、
中学で十分に授業を受けられなかった影響か、
それとも里中家での慣れない生活の影響なのか
高校の授業について行くのは結構大変そうで、
ナオはいつも眠そうにしている。
《全ての学業は無理だが、これくらいのズルは許してくれるだろう【カリキュレーション(演算力強化)】》
こうして授業中や課題に取り組む時に【カリキュレーション(演算力強化)】のギフトを使っていたのだが。あまりにもこのギフトを連発していたせいか、いつしかナオ自身が無意識に【カリキュレーション(演算力強化)】のギフトを発動させるようになっていた。
《私のギフトの変質も、ずいぶん形になってきたな》
ちなみにだが、私がナオ以外の眠っている人間に、話し掛ける事ができるかも試してみた。病院の中で無防備に寝ている人間を見つけ、近づくたびに声をかけてみたが、ほとんどの場合何らかの返事が返ってきた。
もちろん、他のギフトの実験も可能なモノは大体やってみた・・・ストレージ以外は。なにせストレージはナオの目の前に黒い靄が出る上に、あんな音まで出てしまうのだ。しょうがないので、ネオが眠っている時に実験してみて即座に消した。
《【ストレージ】 【ストレージ】》
ヴォン♬ ヴォン♬
あの音と共に黒い
「・・・なっ何? 今の変な音?」
《この変な音を設定したのは君だけどな》
ナオが音に驚いて目を覚まして周囲を見回していたが・・・
「気のせいか? 疲れているのかな?」
また寝てしまった。
そうしたある日、ナオが高校も2年生になって間もない頃。クラスメイトがこんな事を話しかけてきた
「長谷川~ お前サバゲーとか興味ない? 」
「ごめん、山口君。さばげーって何だったっけ?」
「サバイバル・ゲーム、ゴーグル付けてエアガンで撃ち合いするんだ
2チームに分かれて。まあ、簡単に言えばエアガンを使った雪合戦かな?」
「ああ、サバイバル・ゲームね。そういえばこの間テレビで見たよ」
「けっこう流行っているからな。今度の日曜なんだが1人足りなくてな、
銃もゴーグルも俺の予備を貸すからやってみないか?」
《もしかして、これがミリオタか? これはチャンスが来たか?》
ところが、ここで思わぬ問題が発生した、ナオの隣の席に座っている
その話を聞いて茶々を入れてきたのだ。
「なんだよ、山口・・・お前、ミリオタかよ?」
「ちげ~よ、佐々木。なんでもオタ扱いするな」
そこに、悪意は無かったのだろう・・・ただ、その言葉に過剰に反応した人物がそこに居たのだ。
山口と佐々木が、ふとこちらを見て動きを止めた。
「どうしたの・・・二人供?」
「・・・長谷川、お前こそどうした?」
「そうだよ、長谷川。お前、すごく恐い顔になってるぞ」
ナオが自分の顔に手を当てて・・・驚いている
「えっ・・・そうかな?」
「そうだよ、最近、長谷川って酷く眠そうだし。ここのところ珍しくイライラしてたみたいだったからな・・・なんかあったのか?」
「ごめんね、最近、ちゃんと睡眠時間は取ってるはずなんだけど。朝、目が覚めたときに酷く疲れているんだ。」
「大丈夫か? 一度病院に行った方が良いんじゃ無いか?」
「ありがとう。でも、たぶん大丈夫だよ。でも変だな、さっきミリオタって聞いただけなのに・・・ものすごくイラッとしてしまった。」
「昔、どっかでミリオタに粘着でもされたとか?」
「ああ、ありえる。自分が興味の無い内容を延々と聞かされるとイライラするよな」
「いや、そんな記憶無いんだけどね。でも今回は止めておくよ
誘ってくれてありがとう、ごめんね」
「おう、今度はサバゲー以外で誘うから、そん時またな」
《しまった・・・もしかして逆効果だったか》
※ 《》マカの声です
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます