過去の章2 死んでからが忙しい
第1話 ナオの事情とマカの思惑
【マカ】
ずっと中庭から聞こえていたキーラとミーラの声がやっと途切れて・・・
いや、まだ途切れ途切れに 作戦 だとか 特訓 といった言葉が聞こえてきたが
もう良いだろう。
「では、気を取り直して話を続けさせてもらうよ。
結論から言うとパターンD
ナオは無事自分の身体に戻って、今度は私の方が
ナオの中で眼を覚ますことになったんだが・・・」
「困った事に一つだけ、決定的に違う点があったんだ」
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オーダンの王宮で意識を失った後、どれだけの時間が過ぎたのかは分からないが
私は意識を取り戻した。
《ん?・・・私は・・・生きているのか?》
真っ暗で何も見えない
《これは・・・どういう状況だ?》
身体は・・・ピクリとも動かせない
《身体は・・・これは・・・仰向けに寝ているのか?》
耳からは・・・何か ピッ ピッ と規則的な音がずっと聞こえている。
《あれっ? さっきまで何も感じて無かったのに、今頃になってじわじわと鈍い痛みが襲ってきた・・・特に痛いのは頭の左側と左肩から腕、それと右足か?》
《そうか、この感覚には
《しかし困ったな・・・まったく状況がわからん?》
そう考えていると、
《なんだ・・・まぶたが勝手に?》
首も動かせず、天井しか見えないが・・・白っぽい部屋で横になっているのか?
「ここ・・・どこ?」
私の口から声が出た、まだ幼い子供の声が・・・ああ・・・そうか
《・・・・ここはナオの中か?》
私がアートと立てた計画では、ナオにはストレージだけを引き取ってもらうつもりだったのに、あの・・・クソ野郎のせいで、結局ナオに全て押し付けてしまった。
《まあ良いか、ナオに言い忘れた事が無いか気になっていたんだ。私もこっちの世界に来れたんだから問題無し。》
ナオがミリオタになる為の勉強や、ミリオタの友達を作る事に関して、私からのアドバイスは邪魔なだけだろう。よし、例の ”名前の無い” ギフトの変質の方も面倒だからナオにまかせてしまおう。 そうと決まれば、私はこっちの世界の文化について、特に娯楽と飲食についての情報収集に専念させてもらおうか・・・
《お~い、ナオ。私だ・・・マカだ。今、君の中にいる》
しばらく返事を待っていたが、ナオはぼ~っとしたままで何の反応も返ってこない・・
《ナオ~、身体が痛いだろ? せっかくだから治癒のギフトを試してみても良いか? お~い》
・・・だめだ反応が無い・・・この手は使いたく無かったが
《お~い、ナオ。さっさと返事をしないと・・・私が歌うぞ》
・・・ふん、
《
この
《
この
《
この
《どうだ、アートからは『何と言うか・・・独特ですな』としか感想は貰えなかったが、コイツは子供の頃から歌っているんだから中々のモノだろう? しかし、私の歌はこんなモノでは終わらんぞ 次はコレでどうだ!!》
《
《こっちは、私がモデルになった歌劇『マーク王子と水の精霊の愛し子ローナの物語』の中で、一番気に入っている1曲だ・・・・》
《お~い、ナオ~。そろそろこっちが恥ずかしくなってきだぞ。》
《お~い・・・本当に聞こえて無いのか?》
私の時と何が違うんだ?
「痛い・・・か・・身体が動かない・・・お母さん・・・?」
《おいナオ、大丈夫か?》
何かでナオを監視していたのか、慌てた様子で白い服を着た神経質そうな男と目つきの鋭い女性が部屋に入って来た。
「目が覚めたみたいだね・・・安心しなさい、ここは病院。真山総合病院だ」
「病院? どうして?」
「私の名前は
すまないが君の名前と年齢を教えてくれるかな?」
「北見先生? 僕は・・・
「
「いえ・・・先生、どうして僕はここに? そういえば、僕、何か大事な事を忘れている様な気はするんですが」
「そうかもしれないね。 君はね・・・事故に会ったんだよ」
「僕が・・・事故に・・・ですか?」
「ああ、そして・・・その事故から4ヶ月、君は意識を失ったまま、ここに入院していたんだ」
《・・・なんだと》
「そんな・・・」
「それと、落ち着いて聞いて欲しいんだが」
「・・・なんでしょうか?」
「君のご両親は・・・その事故で亡くなられた」
「えっ・・・・・・・・・・・・」
《・・・・・・・おい、キサマ・・・それを伝えるのは、今で無くてもいいだろう?》
動かない身体が徐々に震え始める・・・
「先生っ」
「いかん、
ナオの混乱した感情だけが直接伝わってくる・・・こっちで私のギフトは使えるのか?
《【
「先生、直弥君の容態が落ち着きました」
「なに?
《どうやらギフトは使えるようだな。私も散々世話になったが、
こっちでも役に立ったか》
こうして・・・私と一緒に居た時の記憶を無くしてしまったナオの中で、
なぜか、ナオとの
《まいったな、もしかしなくても・・・ナオに任せるつもりだったギフトの変質って、結局・・・私がするしかないのか?》
そして・・・私は肝心な事を思い出した。
《あれ? ナオ・・・ギフトを変質させる件はともかく ”ミリオタの勉強” は?
”ミリオタの友達” ってどうしたらいいんだ?》
《もしかして、これって・・・
まずいぞ・・・・ナオ~、ナオ~、お~い、ナオ~》
私がナオと共に目を覚ましてから数か月。つらいリハビリという運動能力を回復するための治療法を続けた結果、ナオは松葉杖を使ってなら自分で歩けるまでには回復していた。
その間に何度か、ナオの通っている中学校から何人かの教師というのがやってきて、色々とナオに話し掛けては本や書類を置いて帰っていく。
その後、ナオは松葉杖を使って中学に通学を続けていたが、その間も・・・今度は教師以外の様々な大人たちが様々な書類を持ってやってきた。
結局、ナオは中学卒業までの1年弱を、ほぼ病院から通学することになる。
そしてナオは中学の卒業を機に神奈川県という所の
これは、この国にある
里中家の近くにある高校なる施設に通い、今よりも高度な知識を学ぶらしい。
※《》マカの声です(ナオに届いていません)
※ナオが長期の入院を理由にもう1年同じ学年で過ごすパターンも考えたのですが、公立中学に通う生徒さんが病気などの理由で長期休学された場合でも、年齢にあわせて卒業となる場合が多いようなので今作品ではそちらにしました。
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