第3話 ” ミリオタ ” を探せ・・・
〖マカ〗
ナオの中に入ってはや4年、目が覚めている時のナオには相変わらず声が届かない。
しかし、それでもこの4年の間、ナオの中で見聞きしてきたこの世界は私の想像を遙かに超えたモノだった。
そして・・・やっと私のギフト【ディメンション・リープ(次元跳躍)】が完成した。
まあ、完成したと言ってもこのギフト。モノがモノだけに簡単に試すわけにもいかず、いつ使うかについては現在思案中だ。
ナオの方は大学進学を期に里中家を出て一人暮らしを始め、アルバイトという労働も始めたのだが・・・
そのアルバイト先の雇い主というのが・・・非常に面倒な人物だった。
「ナオ君、うちの娘可愛いでしょう。今度、
《おい、ナオはつい先ほど、お前に手渡された急ぎの案件とやらの資料に目を通している最中だ。娘自慢を他の社員に無視されたからって、こっちに来るな。仕事に集中させろ》
「ナオ君、聞いてくれるかな。うちのサキがスポーツ始めたみたいでね・・・」
《う・る・さ・い・・・お前が急ぎの仕事が入ったからと泣いて頼むから
(
こうして残業しているんだ。近づくな邪魔をするな、ナオの気が散る。》
そして・・・ある日
「ナオ君」
「どうしました、
「サバイバルゲームって知ってる?」
「はあ、聞いた事はありますけど。あの迷彩服着て走り回るアレですよね」
「・・・サキがやってた」
「え? ダンスじゃなくてですか?」
「全員フェイスガードつけてて、どれがサキか分からなかった」
《ほう、こやつの娘が・・・サバイバルゲームなるモノを始めたのか?》
《
《こやつの娘というのが、少々気になるが。他にミリオタは見つかっていないことだし、この世界の兵器関連を趣味にしているという、こちらの条件には
《こやつの娘に、なんとか接触する
〖ナオ〗
結星さんに、ウチの大学に入学した娘さんの監視を頼まれてからはや数か月・・・
娘さん・・・紗希さんが過去に起こした特異な行動を写真付きで、それもご両親それぞれから聞かされていた僕は、時折キャンパスで見かける、見事なネコかぶりに驚嘆していた・・・だが、これは?
紗希さんは食堂で一人、テーブルに突っ伏して寝ている?
これは・・・日頃のネコかぶりからすると、完全にアウトでは?
いや、別にイビキをかいているわけでも無い・・・僕以外、周囲に人影が無いからセーフなのか?
ここは
行動を
「ふぉ~・・・・」
彼女が何か寝言を言いながら身じろぎした影響で、ソファーの上に置いてあった可愛らしいポシェットが床に落ちて
カラカラ・・・・
中から、どうみてもピストルにしか見えないモノが飛び出して
僕の方に転がってきた。
『けっこう見栄っ張りだから、意地でも取り繕うと思うよ、
でも何かあったらよろしくね』
『何かあったらよろしくね 何かあったらよろしくね ・・・・・・・・・・・』
頭の中で結星さんの声がリピートで繰り返され、僕の身体が自然に動いた・・・
素早く周囲を見回して、他に誰も見ていない事を確認
床の上でまだ音を立てているピストルを素早く拾ってポシェットに入れ、
フタをキッチリ閉じてソファーに戻し
そそくさとその場を立ち去る・・・
背中にはびっしょりと汗をかいていた・・・
〖マカ〗
これは、
あの雇い主の娘、ミリオタが寝ているではないか・・・
しかもナオはどう動いて良いか判断できずにいるようだ。
《お~い、確か・・・
〖誰?〗
《私はマカ。信じられないだろうが、私はこの世界とは別の世界の人間だ》
〖何?〗
《実は、あなたには・・・私のいた世界に行って、大量の現代兵器を使ってもらいたいのだ》
〖・・・ちょっと待って、そこ詳しく〗
《そこ? 私は大量の現代兵器を押し付けられたのだが、使える人がいなくて困っていてな・・・》
〖いや、理由なんてどうでもいい。聞きたいのは現代兵器の詳細〗
《私も詳しくは無いのだが銃器や戦車、ミサイルとかいうモノを大量に押し付けられれた》
〖なんてうらやましい〗
《どうやら君の趣味に合致していたようだな。ただ、君を向こうに連れて行くのには、先に私が向こうの世界に渡って、向こうからあなたを見つけて引っ張り込むのだが、それにはあなたと契約する必要があるのだ》
〖契約?〗
《私の希望とそちらの希望を聞いて堅い約束を結ぶようなモノだ。
その約束自体が貴女を引っ張り込む為のロープになると思ってくれればいい》
〖わかった〗
《私の希望は・・・そうだな、銃器や戦車、ミサイルをバンバン使って欲しい》
〖わかった、私の希望は銃器や戦車、ミサイルをバンバン使わせて欲しい〗
「ちょっと待ってくれ、何か混乱してきた。契約内容と代償が同じ場合、
〖そういえば異世界って言葉は通じるの? あと、衣食住の保証を付けて。代償は何が良い?〗
《わかった、【トランスレーション】言語翻訳ギフト1つだけならなんとか君にも貼りつけられるだろうし、後はナオがなんとかするだろう。それじゃあ・・・こちらは君自身の安全を確保した上でいいから。ナオを、
〖わかった〗
《よし、我が名、マカ・オーランの名をもって
言語翻訳ギフトの転写と衣食住の保証を
【エンゲージ】
無事に契約は出来たようだな?
〖それで・・・いつ撃てるの?〗
《それなんだが・・・私の所持する銃器や戦車、ミサイルは大量にある。
出来ればもう何人か連れて行きたいのだが、君の知り合いに心当たりは無いか?》
〖
《わかった、貴女を基点にして、その3人に契約の枝を伸ばそう。すまないがフルネームを教えてくれ》
〖
《あなたが、この3人に会った時に、君から契約の枝を伸ばすようにしておこう。
転写するギフトも同じでいいのかな?》
〖それでいい、そんな事より、どんな兵器があるのか見たい〗
《
〖大丈夫、無意識でも覚えてみせる〗
《わかった、そこまで言うなら見せよう・・・コレだ》
〖ふぉ~~~~~~~~~~~っ〗
《おい、興奮しすぎだ。カバンが椅子から落ちて・・・》
〖今、魂に刻み込んでる途中、話し掛けるな〗
____________________________________
そして、某サバイバルチーム合宿
和室で寝ていたサキがいきなり起き上がった。
「どうしたの、紗希ちゃん、まるで
「綾女、真輝、椿、私と契約してくれる?」
「どうした、紗希、今度は何を仕出かした?」
「一石寺の宿坊での事はもう忘れてあげるから、気にしなくても良いですよ」
「そうだよ紗希ちゃん、よその団体の宿舎にカービン持ってサプライズアタック掛けた件はチーム全員で謝って、ウチの出入り禁止で許してもらえたじゃない」
「・・・契約したら、異世界で実弾もミサイルも撃ち放題・・・」
「なに、そのヤバイ夢、紗希ちゃんの欲望そのまま」
「ついでに、あんた達も誘って、兵器を使い倒してくれって頼まれて・・・」
「紗希ちゃん、契約でヨロシク」
「ロケラン撃ち放題とか」
「紗希、契約でお願いね」
「ハンヴィーやブラッドレーもあったと思う」
「紗希、契約だ」
「まあ、夢の話なんだけどね・・・おやすみ」
【エンゲージ】完了
※ 《》マカの声です
〖〗サキの心の声です
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