第3部 第3話 ヌメヌメパタパタ と ニョロニョロ?
〖ナオ〗
「どういう事も何も・・・
マカの口から出たエニピムという名前、僕やサキさん達だけでなくキーラとミーラがそろって首をかしげているところをみると・・・あまり知られていないモノのようだ。
「マカ王よ・・・なぜ
ミラセアは知っているみたいだな・・・
「いや・・・ちょっと待ってくれ・・・エルフもドワーフも
何か呟きながら頭をかきむしるマカ・・・それ僕の頭なのでやめてくれ・・・
「少なくともわらわは聞いた事が無い。そもそも精霊信仰と
それを聞いても、マカは頭を抱えて何かを考え込んでいた・・・
「とりあえず、ミラセアさん。その
封印だとか
まったく蚊帳の外に置かれた西園寺さんが声をかける、
これにはオリムルさんが答えてくれた。
「古い・・・いくつかの神話には確かに
「名前だけ・・・なんですか?」
「そうなのです、いくつかの古文書に名前だけは残ってはいるのです。ところが神々の戦いにはまったく出てこないのです」
「出てこない?」
「はい、ですから研究者の中では、神々の戦いよりもっと前に
それを聞いて、やっとマカが話しだした。
「ミラセアクアラ殿・・・すまない・・・私は・・・神々の戦いに
「いや、そのような話を祖先が知っておれば、それこそ神話の形で残しておるだろう?」
「私は・・・
「出来なかった?」
「神々の戦い・・・
「そうじゃな・・・多くの神話では、そう伝えられておる」
「
「・・・そのような話、聞いた事が無いぞ。オリウムドラム、お主はどうかな?」
「私も・・・聞いた事はありません。それと火水風土を司る四大精霊については確かに記録にあります、しかし精霊を司る名も無き神とは? そのような存在についての記録も私は見た事が無いですな」
「そうじゃな、マカ王よ・・・その様な話、いったいどこで知ったのだ?」
「私は・・・・・・妻に、聞いたのだ」
「「「「つま?」」」」
「そうだ、私の妻、シーナローンはサウラタに棲む水の精霊と意志疎通のできる”水の精霊の愛し子”だった。どうやら水の精霊に教えて貰ったらしい・・・のだ」
「水の精霊の愛し子・・・か?」
「ああ、エルフやドワーフの中では
エルフの
「文章にするのが難しいとは・・・どういう事じゃ?」
「精霊と言うのは、そもそも言語を持っていないらしい」
「らしい?」
「ああ、意思疎通と言ってもフワッとしたイメージをやり取りする感じなんだ。
だから、当時はシーナローンの感じた事を無理矢理言語化してもらって、
それを私とアートで整理して文章化しようとしたんだ」
「それで・・・どうなったのだ?」
「あまりの情報の量とその
「ある程度じゃと?」
「ざっくり説明すると、
戦いは精霊神側が優勢で進んだらしいが、
それで精霊神と大精霊は、その5つの分体それぞれを追いかけて追いついた場所で封印したんだそうだ」
「マカ王よ、さすがにそれは・・・ざっくりし過ぎではないか?」
「水の精霊の伝えてきたイメージをシーナローンに無理矢理言葉に変換してもらったからな。色々と聞いた膨大な話を繋ぎ合わせて整理すると大体そうなる。」
「イメージを無理矢理言葉にって? どういう事なのかな?」
「それこそシーナローンの感覚だったから私にはわからなかった。
ちなみに
「マカ・・・ザーってナニ?」
「サウラタに居る水の精霊のことだ。精霊には名前が無いので妻が勝手にそう呼んでたんだと」
「マカ王、それでよく
「ああ、全部紙に書きだしてアートと2人で頭を掻きむしりながら正解が何か考えたよ。『ぐちゃぐちゃの大きいのが黒いガチガチと緑のバキバキ、青いトゲトゲ、紫のギラギラ、赤いニョロニョロの5つに分れたの』・・・なんて書かれたメモが目の前に何百何千と並んでいたな・・・」
「それは、大変そうだね。5つに分れたって・・・もともとの形が想像できない、だからぐちゃぐちゃなのかな?」
「なんでも・・・『黒いガチガチ』は『赤いチチチ』を連れていて、
『赤いニョロニョロ』は『黒いヌメヌメパタパタ』の群れに囲まれていたらしい」
「ごめんねマカ、ざっくり説明してくれてありがとう」
「それよりも問題は、ナオ・・・赤い霧を吐いてチチチと鳴く生き物・・・コレって最近見て無いか?」
それって・・・もしかして?
「ルゼル湖やギワノ山で見た気持ちの悪いアレ?」
「王様、ということは・・・『黒いガチガチ』って、湖の底にいた黒いフジツボ?」
「おそらくアレが
「アレは
「僕達は知らない内に
「そうだな・・・君達は
「ねえ、マカ。さっきの話、チチチとガチガチ以外に気になる言葉が出てきたんだけど・・・もしかして?」
「気が付いたか? サーサンタで見た黒い羽根の生えた生き物。おそらくアレが『黒いヌメヌメパタパタ』だろうな」
「それがサーサンタにいるという事は?」
「あの近くに
「おかしいね・・・かなり深刻な事態なのに、
ヌメヌメパタパタとかニョロニョロとか、名前のせいで緊張感が湧いてこない」
僕の言葉を聞いて、オリウムさんが説明をしてくれる。
「ナオ殿、もしあれが古い文献に書かれている通りの
ヌメヌメパタパタというのは、おそらく”餌を運ぶ翼”の眷属、アビキで間違い無いかと。チチチの方は”惑いの息”の眷属、クセビだと思われます」
「ガチガチとニョロニョロは?」
「サキよ、何を言っておる。バキバキ、トゲトゲ、ギラギラ、印象は違うが全部
「とにかく、急いで
「それならば、私は調査を急ぎます・・・明日中には全ての刻印を写し取ってしまいますので少々お待ちください」
「オリウムドラムよ、お主もしや・・・これから眠らずに写すつもりかな?」
「はい、帰りの道中ハンヴィーの中で眠らせて頂きますのでご心配なく」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます